ビスケットブラザーズ、 生理的に無理でも強制的に笑わせる暴れぶり!全ネタレビュー
#檜山豊 #KOC2022を語ろう
2番手は、3年ぶり2回目の決勝進出となる『ネルソンズ』
僕は元々ネルソンズのベタなコントと本格的な芝居がミックスされたようなネタが好みである。しかも3人共演技が上手い。とくに和田まんじゅうさんの演技の上手さが毎度のこと魅了されてしまう。
今回のネタは新婦の元カレが新婦を奪いにやってくるという、オーソドックでベタな設定なのだが、3人の演技の上手さ、熱量、展開の仕方でベタを感じさせないネタに仕上がっていた。
ネルソンズさんの基本パターンは、和田まんじゅうを中心とした世界観を造り上げ、岸さんがボケの加速装置となり、青山さんがツッコミをするというものが多い。
しかし今回決勝で見せたネタは和田さんをボケにするのではなく、リアクションを取る人、つまりリアクターとしてツッコミ側に回したのだ。そして岸さんと青山さんが状況ボケを繰り出すという構成になっていた。
このフォーメーションが非常に優れているのは、一番ボケそうな和田さんをボケではなくリアクターにすることにより、ボケボケしいネタにならずに済むのだ。さらに和田さんが冷静に一歩引いたツッコミを入れることにより、ベタでファンタジーな設定がファンタジーのまま受け取ることが出来て、ネタ自体はリアルな世界にとどまることが出来て、ぶっ飛んだわけのわからないネタにならずに笑いやすくなる。ネルソンズさんは自然に出来ていることなのだろうが、とても計算された素晴らしいシステムだ。
ではなぜ今回、ファイナルステージへ行くことが出来なかったのか。それは間違いなくテンポ感だ。
漫才もコントも一緒なのだが、ネタというのは後半になるにつれて笑いの量を増やした方が「面白いネタ」として認識されやすい。そういった意味で今回のネルソンズのネタは終始笑いが起きてはいたが、一定のテンポと同じリズムで繰り返される緩急のせいで比較的平坦なネタに感じられてしまったのではないだろうか。
さらにボケの中で新婦が今の新郎を選んだ理由が「足が早いから」というものがあったが、これはただのボケではなく、後半重要になってくるボケだったのでもう少し凝っても良かったかもしれない。幼稚な理由というボケで、しかも「そこにこだわってるんかい」というボケなのだとは思うが、そのボケが最初に繰り出されたときにチープなボケに感じてしまう人もいて、さらにそれを引っ張るとしつこいと思ってしまう可能性もある。
最初はボケに感じないようなボケで、後半になるにつれてキーポイントになるようなボケであればもっとテンポが出たかもしれない。
に演技が相当上手いのだから、ネタの途中で圧倒的にドラマチックな部分をつくり、5秒くらい黙ってみたり、エグいほどの緩急をつけても良かったかも。
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