ビスケットブラザーズ、 生理的に無理でも強制的に笑わせる暴れぶり!全ネタレビュー
#檜山豊 #KOC2022を語ろう
今年で15回目を迎える日本一のコント師を決める大会「キングオブコント」。10月8日にTBS系列で決勝戦が放送され、10月2日に開催されたキングオブコント2021。過去最大のエントリー者3018組の中から、大阪を主戦場としているビスケットブラザーズの優勝で幕を閉じた。
前回大会では14年ぶりにルールが改定されたり、審査員が一新されるなどの大幅な変更があったが、今大会は多少のルール変更はあったのものの、前回同様即席ユニットの参加は許可され、審査委員も前回に引き続き、松本人志さん、東京03の飯塚悟志さん、バイきんぐ小峠英二さん、ロバートの秋山竜次さん、かまいたちの山内健司さんの5人が担当した。
大会自体の変化はあまり無かったが、ファイナルステージへ進んだ芸人たちは約半分の5組は初の決勝進出者、そして4組は数年ぶりのカムバック、なんと前回2021年から連続で決勝へ進出したのは「ニッポンの社長」の1組だけ。たった1年でそれだけ顔ぶれが変わってしまうというのは、いまの芸人たちの実力が高い次元で拮抗しており、さらにはネタ質のサイクルが物凄いスピードで入れ替わっているということだろう。
それでは早速だが、元芸人目線で「キングオブコント2022」決勝進出者のネタを1組ずつ分析しいく。松本さん並びに他の審査員の意見を聞いてしまうと少なからず自分の意見が左右されてしまうかもしれないと思ったので、今回はあえて審査員たちの評価を聞かずに、自分の独断と偏見でレビューさせてもらうことにした。なので審査員たちの評とは少しギャップがあるかもしれないがそこはご了承いただきたい。
1組目『クロコップ』
初の決勝進出。準決勝へ行くこと自体も初めてだったということで今までは準々決勝敗退が最高記録だったコンビ。
初めての決勝というだけでも相当な緊張感に包まれるが、それに加えて圧倒的に不利だと言われているトップバッター。どうしてもトップバッターには厳しめの点数がつけられる傾向にある。このファーストステージを勝ち上がり、ファイナルステージまで進めば公平にジャッジされると思うのだが果たしてどういう評価になるのか。
設定はあっち向いてホイの「ホイ」の部分をカードバトル化して戦うというネタ。
スタートからすぐに曲をかけ、さらに衣装や喋り方で派手なネタに見せることにより一気に空気を作ることに成功した。普通ならこういう架空の設定は、お客さんに伝える為の時間がかかるのだが、「お前を倒して真のホイリストになる」というセリフと、その直後、曲に合わせてあっち向いてホイの「ホイ」の部分をやり、説明と笑いを同時に繰り出すのはかなり凄いテクニック。
そして二言目に「今俺に勝つって言ったな。あっち向いてホイ、オフィシャルカードバトル西東京代表のこの俺に」というセリフで、まだ理解できていない人への設定説明のダメ押しと、西東京代表という世界観で笑いを取るというかなり高等なテクニックを披露した。
そして2人のキャラクターに合ったポージングでも笑いを取り、さらにカードバトルならではのアイテムカードを発動させることで、より大きな笑いを産みだした。リズムネタのような曲と動きの爽快感もあり全体的にとても面白いネタだった。
しかし少々勿体ないポイントもあった。それはあっち向いてホイをしているときの演技だ。そこで多少コミカルな動きをして笑いを起こそうとしているのはわかったのだが、もうすこし顔の表情とか、焦りを表現し世界観を深めても良かったと思う。さらに後半の戦いになると、アイテムカード自体の面白さはあるのだが、それを表現する際に若干チープな動きやボケになっていたのが惜しまれる。2人共同じ動きをするのではなく、別々の動きで猛者感を出し、さらにはアイテムカードの乱用でより複雑にし、わかりやすいネタだけにボケを渋滞させて笑いを詰め込み過ぎるくらい詰め込んだ方が、良い意味でネタのバカらしさに拍車がかかり、もう少し点数が高かったかもしれない。
最後にヘリコプターの梯子を使って去るというボケがあるのだから、後半メチャクチャでもまとまったはず。トップバッターでなければもっと印象に残ったと思うので来年以降も決勝戦へ来ることを願っている。ほかのネタが見てみたいと思わせるコンビだった。
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