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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 映画  > 『るろ剣』原作改定だらけ
今週の『金曜ロードショー』を楽しむための基礎知識㉚

『るろうに剣心 最終章The Final』原作改定だらけが功を奏した理由

原作にないシーンが、陰鬱な空気をやわらげる…見事な演出

 なので「人誅編」の物語は登場人物が常に苦しめられ、疲弊し続ける陰鬱な展開が続く。筆者も連載当時、ページをめくる度に辛い気持ちになっていた(もちろんそれは登場人物の苦しみを読者にも味合わせたいという作者の意図なんだろうけど)。

 陰鬱が限界に達するのが本編のヒロインである薫が殺され(たように偽装されていた、というオチがつくのだが)てしまうという、ジャンプ史上に残る陰鬱もここに極まれり、といった場面だ。これを実写でそのままやってしまったらあまりにグロテスクすぎるとなったのか、映画では薫の死のシーンは削除された。

 この削除をはじめ、『最終章 The Final』には原作の陰鬱な展開を和らげようとする試みがいくつかある。そのひとつが実写版前2作に登場していた、神木隆之介演じる瀬田宗次郎の再登場だ。

 宗次郎は原作でも人気の高いキャラだったが、原作では再登場の機会がなく、後に続編として連載がはじまった「北海道編」に登場し、その後剣心と同じく流浪人になったという設定が今回の実写版にも生かされている。宗次郎の再登場は完全なサプライズで、ファンも大喜び。陰鬱な物語で一服の清涼剤となっており、他にも原作にない縁らの東京大襲撃シーンなど、観客を嫌な気持ちだけにはさせない配慮がそこかしこになされているあたりが、10年に渡って同シリーズを作り続けた製作陣の英断はお見事。

 スケール的には「京都編」のように前後編になってもよさそうな「人誅編」を一本138分に凝縮、濃密な仕上がりになった『るろうに剣心 最終章 The Final』は金ローの放送枠を50分に拡大、ノーカット版でお送りします。そして来週は『るろうに剣心 最終章 The Beginning』で完結、ってFinalなのに続きがあるの? しかもBeginningって??

 その謎は次回!

 

 

しばりやトーマス(映画ライター)

関西を中心に活動するフリーの映画面白コメンテイター。どうでもいい時事ネタを収集する企画「地下ニュースグランプリ」主催。

Twitter:@sivariyathomas

しばりやとーます

最終更新:2022/10/14 19:00
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