『るろうに剣心 最終章The Final』原作改定だらけが功を奏した理由
#金曜ロードショー #しばりやトーマス #金ロー
2012年に一作目が公開、以後足掛け10年に渡って五本の長編シリーズとなった映画『るろうに剣心』の完結編となる、2021年公開の二作品がついに日本テレビ系『金曜ロードショー』に登場!
まずは完結編の前編にあたる『るろうに剣心 最終章 The Final』です。
これは「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された原作漫画のオーラスとなるエピソード“人誅編”をベースにした映画。京都での戦いを経て平和な日々を過ごしていた剣心(佐藤健)たちであったが、正体不明の何者かによって剣心の知人、縁者らが襲われ、襲撃者は「人誅のはじまりだ」という言葉を残す。
連中の目的がわからず困惑する剣心の前に現れたのは、襲撃者を陰で操っている雪代縁(新田真剣佑)。縁はかつて剣心の妻だった巴(有村架純)の弟で、姉の事を慕っていたが複雑に絡み合う事情から剣心が、巴を斬殺した事で強い恨みを抱いており、「天が裁かぬのなら自分で裁く」という意味の「人誅」を剣心に実行する。
原作の「人誅編」は幕末の時代には血も涙もない非道の「人斬り抜刀斎」と呼ばれていた剣心の過去や、剣心が明治の時代には人を殺さない誓いを立て、流浪人としてさすらうことになった理由が語られ、これまでの伏線がすべて回収されて終幕となる物語の総決算に。
実写版もこの人誅編で完結となり、シリーズ通しての売りであった全国ロケーション(京都、滋賀、奈良から広島、熊本、長野、栃木……)、谷垣健司率いるアクションチームによる桁外れのアクションは、さらにスケールアップ。
今までは映像にするだけで喜んでいたファンも、目が肥えているので少々のことでは驚かない。「前作以上のもの」を期待され求められている注目作な上、原作における「人誅編」というエピソードの位置づけそのものが問題なので『最終章 The Final』の出来に一部のファンが不安を感じていた。
原作漫画『るろうに剣心』の、人気が最高潮に達していたのは間違いなく前2作『京都大火編/伝説の最期編』のベースになった「京都編」だ。「人誅編」は人気がない、とまでは言わないけれど、盛り上がりという意味ではやや劣る。その理由は敵となるキャラクターの差だ。
「京都編」の敵、志々雄真実は原作中でも最強の実力を誇り、頭のてっぺんからつま先まで「完全なる悪」なので読者、観客も「徹底的に叩きのめしてほしい」と思えるが、「人誅編」の敵、雪代縁が剣心を憎み、恨むが故に「無関係の人間を巻き込んでも人誅を果たす」という明らかに間違っている「歪み」に至ってしまう理由がわかってしまうので、無邪気に「縁をやっつけてしまえばいい」とはならない。勝ったとしてもまったくカタルシスが得られないのだ。
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