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S.S.ラージャマウリ監督インタビュー

『RRR』全世界で大バズり中! あのダンス対決シーンとインド映画の現在地 S.S.ラージャマウリ監督インタビュー

『RRR』全世界で大バズり中! あのダンス対決シーンとインド映画の現在地 S.S.ラージャマウリ監督インタビューの画像1
(左)ビーム(NTR Jr.)、(右)ラーマ(ラーム・チャラン)。英雄2人の物語が今、始まる!!©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

 あなたは“インド映画”について、どんなイメージと期待を持っているだろうか?

 とにかく歌って踊りまくる登場人物たち、壮大なストーリー、濃くて長い上映時間……いくつかの要素が挙げられるだろう。でも、それは正しくもあり、誤った認識でもあるのかもしれない。

 “インド映画らしさ”を網羅しながらもーーこれまでの全てを凌駕し、超越する映画『RRR』が、10月21日(金)から劇場公開されている。

 

『RRR』全世界で大バズり中! あのダンス対決シーンとインド映画の現在地 S.S.ラージャマウリ監督インタビューの画像2
©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

 

 

  監督は、「バーフバリ」シリーズ(現地公開2015、16年)が日本でも超ヒットし、多くのファンや信者を抱えるS.S.ラージャマウリ。彼の最新作で、世界累計興収1億4000万ドルとインド映画として記録的なヒットを飛ばした超大作が、ついに日本に上陸する。

 

『RRR』全世界で大バズり中! あのダンス対決シーンとインド映画の現在地 S.S.ラージャマウリ監督インタビューの画像3
©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

 日本におけるインド映画ヒットの立役者・ラージャマウリ監督に取材を敢行し、『RRR』撮影秘話や、インド映画の未来について聞いてみた。

あのシーンのダンス曲「ナートゥ・ナートゥ」はどう生まれた?

 

 

ーー『RRR』は全編にわたって血湧き肉躍るシーンの連続ですが、今作のハイライトのひとつに、作中曲の「ナートゥ・ナートゥ」(もしくはヒンディー版「ナチョ・ナチョ」)で、ビーム(NTR Jr.)とラーマ(ラーム・チャラン)、ヒロインのジェニファー(オリヴィア・モリス)たちがシームレスに踊り出すシーンがあります。視覚的にも聴覚的にも中毒性があって、何度観ても本当に飽きません。

 その証拠に、同曲のダンスを真似したダンス動画やリアクション動画が、すでにアメリカ、イギリス、韓国など、世界中のSNSでバズっていますね。この曲はどのようにして生まれたのですか?

 

S.S.ラージャマウリ監督(以下、ラージャマウリ):本作品の主演に迎えたNTR Jr.とラーム・チャランの2人が素晴らしいダンサーでもあるということは、みなさんもわかっているので、きっとみんなで踊るシーンがあるだろうと期待されているのを感じていました。

 この曲では、植民地下のインドでジェニファーに接近するため、イギリス人の館に潜入する計画のプロセスを描いています。ビームがイギリス人と一悶着あったものの、そこでケンカをしたら潜入は台無しになってしまう、正体がバレるわけにはいかない。それならば、ダンス対決のようにするのが最適かと思ったのです。そういった設定のもとに組み立てていって、「ナートゥ・ナートゥ」という曲、シーンが誕生しました。

 

ーー一方で、『RRR』は、ラージャマウリ監督作品の中ではダンスシーンが少ないように感じられました。

 北インド映画(※)の話になってしまいますが、かつてカラン・ジョーハルは、『マイネーム・イズ・ハーン』(10)を制作した際に、「インド映画は“歌って、踊る”映画ばかりではない」と、他国のファンが抱いているステレオタイプからの脱却を目指すために、あえてダンスシーンは入れないと言っていました。『RRR』のダンスシーンが少ないのも、海外市場を意識したからでしょうか?

(※)国土が広大なインドは地域によって文化や言語が異なり、映画もそれに準ずる。北インド映画はムンバイ(通称・ボリウッド)や首都・デリーにて制作される作品で、主にヒンディー語。一方、南インド映画は主にタミル(コリウッド)、カンナダ(サンダルウッド)、テルグ(トリウッド)、マラヤーラム(モリウッド)語で制作され、歴史をモチーフにしたもの、娯楽作が多いとされる。ラージャマウリ監督の『バーフバリ』や『RRR』もこちらに属する。
 この他にも、ここに属さないインディペンデント系もあり、若手クリエイターたちがネットを通じて自由に作品発信できる時代であることから、今後も“インド映画”には新たなカテゴリが生まれる可能性もある。

 

ラージャマウリ:それは世界市場を意識したからではなく、私の作品へのスタンスによるものです。

 かつてインド映画には、1作品に対して5、6曲はダンスや歌のシーンを入れるという、世界市場で成功するためのフォーマットがありました。みんながそう思い込んでいたのです。

 私は『マガディーラ 勇者転生』(09)の中で、ある試みをしました。ストーリーの中で必要ならば曲を入れよう、曲によって流れが中断されてしまうようなら取り除こうと。あえて、5、6曲入れるという概念から外れてみたのです。

 最初は恐れもありましたが、『マガディーラ』が興行的に成功し、観客にも楽しんでもらえたことが、私の転換点になりました。

 それ以来、ストーリーを伝えるうえで役割を果たさないような歌であれば、そもそも入れないでおこうという意識に変わったのです。

 『RRR』では、冒頭のビームとラーマの出会いのシーンの曲、そして「ナートゥ・ナートゥ」で、2人の絆が深まるという展開が進んでいます。必要性があれば、何曲でも、10曲でも入れようと思います。もちろん、必要がなければ1曲も入れません。今はそう考えています。

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ラーマのシーンは圧巻のスケール!! ©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.
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ビームの肉体的、精神的タフさもスゴい!! ©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

ーー『RRR』の世界的ヒットの要因のひとつとして、(米国など劇場公開されていない国では)Netflixで配信されたことが起爆剤になった部分もあると思います。ラージャマウリ監督にとって、Netflixを含む動画配信サービスはどのような存在ですか?

ラージャマウリ:私は、動画配信サービスは「敵であり、友でもある」と思っています。

 敵というのは、みんなが映画館で作品を観る機会を脅かしているという意味です。私たちは、映画館で映画を観てもらいたいと思って映画を撮っているからです。

 ですが、映画を観る方々は、映画、テレビ、そしてサブスクリプション(定額配信)と、それぞれを区別して作品を受け取ってくれていると思います。

 Netflixが『RRR』の世界的成功の要因のひとつであるかという質問に関しては、もちろんそう思います。

 私は映画の作り手として、世界の隅々までストーリーを届けたい、作品を観てもらいたいという気持ちがありますので、それをNetflixが担ってくれました。

 『RRR』は、Netflixの非英語作品のチャートに15週間入り続け、記録を樹立しました。ですから、Netflixのおかけでここまで世界中の人に観てもらえたというのは、間違いのない事実です。Netflixの果たす役割というのは大きいでしょうし、感謝をしています。

 

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2人の英雄の友情は…。©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED

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