円楽師匠の“腹黒”はなぜ誰もが知っている? 日曜の夕方に笑いと憂鬱を届ける「笑点」
#笑点 #檜山豊
56年間変わらずに日曜日の夕方に笑いを提供する「笑点」
「笑点」は毎週日曜日の夕方に放送されている。これは放送が開始された1966年から変わっていない。
日曜日の夕方、茶の間にいる遊び疲れた子供たちは、夕飯を待ちながらダラダラと「笑点」を見る。それは今も昔も変わらない。サザエさん症候群同様、笑点症候群という言葉を聞くこともある。これは「笑点」を見ることにより、休日の終わりを実感することで起こる憂鬱などの症状が発症することを指す造語である。世界的にも「ブルーマンデー」という言葉があるが、そんな憂鬱な気持ちを引き出すということは裏を返せばそれだけ「笑点」は人々の心の中に根付いているということだ。
笑点症候群という言葉はあまり良い意味ではとらえられないが、本来「笑点」が日曜日にやる理由は、そんな憂鬱な気持ちを笑いで吹き飛ばしてほしいという意図があったからではなかろうか。だから56年間変わらずに日曜日の夕方に笑いを提供し続けているのかもしれない。さらに「笑点」はいまだに視聴率で週間バラエティ番組部門で1位を獲得することがある。つまりこれは「笑点」を見ると憂鬱になる人よりも「笑点」を見て幸せな気持ちになる人の方が多く、笑いで憂鬱を吹き飛ばしている人が多数いるのだろう。
「笑点」は子供が初めて触れる伝統芸能である。もし「笑点」という番組が無ければ落語を見る機会は限りなくゼロに近い。しかし「笑点」が子供のころから存在しているおかげで、落語という伝統芸能を身近に感じることが出来るのだ。
さらに「笑点」の凄いところは、笑いの質が子供向けのものから大人向けのものまで様々な笑いが散りばめられている。子供向けなのは「林家こん平」師匠や「林家たい平」師匠、さらに「林家木久扇(旧名林家木久蔵)」師匠のようなわかりやすい笑い、そして「桂歌丸」師匠や「三遊亭小遊三」師匠、そして円楽師匠のような大人向けの笑いが用意されているので、全世代が飽きない。子供の頃はいまいちわからなかった、歌丸師匠と円楽師匠の憎まれ口のたたき合いがいつの間にか笑えるようになり、気が付くと大人の笑いがわかるようになっているのだ。
しかも「笑点」は伝統芸能だけにこだわっているわけではない。もちろん伝統芸能はきちんと継承しつつ日テレ系の『24時間テレビ』とコラボしたり、大喜利コーナーの前に若手芸人や流行りの芸人を出演させ、伝統を守りながら、新しい事や人を積極的に取り入れる姿勢を持っている。まさに唯一無二の番組と言えるだろう。
少しずつ変化を繰り返しながらも、歩み続ける「笑点」。6代目三遊亭円楽師匠が亡くなったことにより、「笑点」はまた変化することになる。果たして次はどういう形の「笑点」になるのか。ただひとつだけ言えるのは根本にある「笑い」の部分はいつまでも変わらず、我々を幸せな気持ちにさせてくれるのは間違いない。日曜日が楽しみである。
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