最高の人間にや団、人間の狂気が笑いになった「KOC2022」現役芸人はこう見た
#吉松ゴリラ #KOC2022を語ろう
「コントの魅力」が全て詰まったコットンの浮気証拠バスターズ
いぬ:インストラクター
大の大人2人が、夢の中、現実世界と、ただひたすらキスをするというネタ。大人から子どもまで笑えるバカバカしさをはらんでおり、そのシンプルさ故、世界でも通用する可能性のあるネタ。
終盤インストラクターの設定を利用しながら、よりアクロバティックなキスを披露。肉体派の2人の個性を活かしたネタ。
ロングコートダディ:料理頂上決戦
通常このようなコントでは、何度言っても帽子を落とすボケ役を、「話が通じないヘンな人」にする所。しかし本コントは、そこに「緊張している」という理由付けをする事で、「ヘンな人に “なってしまっている”人」と、コントに無理のない設定を落とし込んでいる。
ある意味、誰もが経験した事のある「緊張して失敗する」という「あるあるシチュエーション」を、最高の設定と最高の失敗方法を用意してまとめられたコント。
ちなみに兎の演技力と表情の作り込みにより、「緊張している人」の中にも「話が通じないヘンな人」の要素もしっかり残っており、より強度の高い笑いを作っている。その残した要素の塩梅も絶妙。
や団:BBQ
実はここまで、前半組に「天ドン形式のネタ」が固まっていた。その流れから、や団氏のほぼ天ドンを使わないストーリーベースのコント。
奇人2人による明確なキャラクターのボケと、ストーリーボケ双方が入れ込まれている。
通常、トリオでコントをする場合「ボケ役2人が、フリとして関係性を見せ、そこにツッコむ」もしくは「ボケ役2人が、ヘンな共通の価値観を持つ団体で、そこにツッコミがツッコむ」のパターンが多い。
しかし本コントはボケ2人が、各々「違うタイプの奇人」。別々の奇人キャラクターを作り、それらを合わせる組み合わせの妙と、そこから展開されるオリジナリティの高いストーリー作りが秀逸。
コットン:浮気証拠バスターズ
審査委員長松本人志をして「心・技・体がバッチリ」と言わしめた通り、「言葉の笑い」「動きの笑い」「道具を使った笑い」と、「コントの魅力」が全て詰まっているコント。
蛇足だが女性に不快感を与えるテーマの内容は、台本・配役を間違うと全然ウケなくなるケースも多い。嫌悪感が前に出て、笑いづらくなるからだ。今回のネタは「浮気した証拠を消す」という、キワどさを感じる人もいるテーマだが、それを全般的にポップに見せる台本の作り込みと演じ方が絶妙。
ビスケットブラザーズ:魔法少女
ボケの切り口・センス・精度の高さが超ハイレベル。ほぼ全てのボケが、一般の方のみならず、芸人をも笑わせるレベル。ストーリー・展開性もさる事ながら、その間に繰り広げられる大喜利ボケの強度が抜群に高い。
個人の感覚でいうと、出オチにも成り得る濃いキャラクターで登場した後に、同じレベル以上の笑いを継続して取っていく事は非常に困難。なぜなら一番最初に、一番インパクトの強いボケが来ているから。
しかしビスケットブラザーズ氏は、その後も超強力なボケの連打で、そのインパクトをかき消す程の笑いを作り上げた。また、通常コントに多用される「あるあるを入れ込むボケ」以外の独自のボケが多用され、個性とオリジナリティの高いネタに仕上がっている。単純にお笑いの腕力の強さを見せつけた、超強力なネタ。
ニッポンの社長:新世紀ロボヴァーリオン
演出方法がピカイチ。オチの部分を引き立てる為の音響、照明の使い方が秀逸。
言葉や動きがない笑いというのは、実は非常に難しい。タイミングやそれまでのフリ、演出がハマらなければ、全くといっても良いほどウケないのがこの笑い。「お客さんが笑いたくても、笑うきっかけが無い」という状況に陥り、導火線が燃えていても爆発しないという状況となる。
全体的な世界観やフリ・オチの変化を付け、全て爆笑を取ったネタ。
最高の人間:テーマパーク
人間の狂気的な部分にスポットを当てた、良い意味で気持ちの悪いネタ。このジャンルの笑いは好みが分かれるが、好きな人には変えが効かないほど好まれる。
直接的に狂気を表現するのではなく、抜群に高いストーリー性にのせて狂気を表現している。
コント前半部分をフリにした、後半の切り返しの鋭さも秀逸。そこからの展開、関係性の変化、オチに向かって期待値を高める手法など、台本レベルが抜群い高いネタ。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事