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『キングオブコント』語らない浜田雅功のノイズのなさと安定感

『キングオブコント』語らない浜田雅功のノイズのなさと安定感の画像1
浜田雅功(Getty Images)

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(10月2~8日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

ダイアン・津田「ゴイゴイスーーー!」

 もはやテレビ番組の配信が一般的になって久しいけれど、それに応じて、番組内にちょっとした仕掛けを設けておいて一度見た人に配信でもう一度確認させる、みたいなのもよく見かけるようになった気がする。序盤の伏線が後半で回収されたりとか、視聴者が気づきにくいところに誰かがこっそり映っていたりとか。確認したい人はもう一度TVerで、というわけである。

 そんな答え合わせ的な視聴への誘導、あるいはビンカン選手権的視聴のススメは、配信の再生数を増やすためだったりもするのだろう。視聴者としては、面白かったらもう一度見るし、つまらなかったら見ない、というだけではあるのだろうけれど。

 そういう意味でいうと、先週見たあのネタは、特に何も仕掛けはなかったのだけれど何度も繰り返し見てしまった。8日の『お笑いの日2022』(TBS系)で披露された、ランジャタイと津田篤宏(ダイアン)のコラボネタのことだ。

 約8時間にわたりお笑いを中心にお届けするこの番組も今年で3年目。今回、そのオープニングを飾ったのは「お笑いプラワンFES」と題した芸人たちのコラボネタの企画だった。そのなかでも面白かったのが、ランジャタイ(国崎和也・伊藤幸司)とダイアン・津田の組み合わせだ。

 メイキングのVTRによると、それまで津田とランジャタイには面識がなかったという。その最初の打ち合わせで、津田は「正直、ランジャタイのネタは見たことあるけど、ようわからんのよ、俺は」と指名されたことへの戸惑いを語る。ネタの流れを見せてもらったときも、「もうわけわからん」「なんか物語もクソもなんもないやん。なんもつながってへんやん」などと動揺を隠さない。

「今までの俺のやってきたことと全然違いすぎて、ちょっと戸惑ってる、正直」

 そんなネタ合わせを経てできたネタは、さて、どんなものだったのか。

 お互いに逆方向から歩いてきたランジャタイの国崎和也と伊藤幸司。肩がぶつかる。メンチを切り合う2人。どちらも引かない。2人は相手に殴りかかろうとする。その拳が相手に届こうとするその瞬間、2人の間に置かれた箱を突き破って津田が出てくる。

「ゴイゴイスーーー!」

 そして津田は歌う。『ザ・ヒットパレード』の曲に合わせて「ゴイゴイー、スーススー」とリズミカルに歌う。舞台の上を左右に動き回る津田。最初少し緊張気味だった顔が、客席の笑いを確認して徐々に緩んでいくのが可笑しい。

 その後は、見る者の脳にダイレクトに語りかける津田。突如『戦場のメリークリスマス』の曲がかかると「すみません。わんこそばの、時間です」と舞台の端でわんこそばを食べてゴイゴイパワーを溜める津田。ゴイゴイパワーを使って国崎と伊藤をハトにする津田。くノ一のミユキちゃんにフラれる津田。母ゴイゴイスーに「めげないで」と鼓舞される津田。全身全霊ゴイゴイスーのモードに入る津田。「ゴイゴイスー!」「スー!」「スーススー!」「ゴイゴゴーイ!」としつこく連呼し続ける津田。ミユキちゃんとよりを戻す津田。改めて「ゴイゴイー、スーススー」と津田。そして最後にまた「わんこそばの、時間です」――。

 繰り広げられたゴイゴイミュージカル。どうやら、誰かの拳と拳が交わる瞬間に彼は現れるらしいが、そんな設定はどうでもいい。というか、なんだその設定。

 あと、津田はメイキングで今回のネタを「わけわからん」と評していたが、そもそも「ゴイゴイスー」の意味とは。「ゴイゴイスー」はともかく、「スーススー」や「スーを差し上げます」とは。

近年大阪から上京してきた漫才師のなかでの“不遇”のようなものをイジられ、さらに渋谷凪咲(NMB48)からは「ダイアンさんがお笑いの頂点」などとイジられ気味に持ち上げられ――そんな長年にわたる流れがフリとなった上で、「わけわからん」ものが「わけわからん」ものと組み合わさって、いや、結局できあがったものは「わけわからん」わけだが、なぜか「ゴイゴイスー」のみならず津田という存在のテレビの上の居場所がスポッと定まって大爆発、みたいな瞬間だった。意味はわからないが、腹には落ちるというか。

 いや、この面白さはとても説明しにくい。文字だけでは魅力が伝わりにくかったかもしれない。確認したい人は、もう一度TVerで。

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