『キングオブコント2022』で改めて考える“ドキュメンタリーとしての側面”
#キングオブコント #深田憲作 #企画倉庫 #KOC2022を語ろう #アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~
放送作家の深田憲作です。
「企画倉庫」というサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこの連載をやらせてもらっています。
今回のテーマは「キングオブコントについて」です。
先日、コントの日本一を決める大会『キングオブコント2022』が開催されました。TBS系での放送終了直後からさまざまなネット記事で、優勝者を始めとしたネタの批評記事が量産されていると思いますが、私は企画としての目線で『キングオブコント』について書いてみたいと思います。
テレビ番組の企画を考える時は「クイズにしてみる」「ランキングにしてみる」「検証してみる」「目利きをしてみる」といった、要素と要素の“かけ算”によって企画は生まれます(企画者がそのかけ算を意識していることは少ないのですが)。
例えば、『ぐるナイ』(日本テレビ系)の人気企画『グルメチキンレース・ゴチになります』は、「グルメ」×「値段当てクイズ」のかけ算になっています。『水曜日のダウンタウン』(TBS系)は「独自の理論」×「検証」、『お宝鑑定団』は「お宝」×「目利き」といった具合です。
『キングオブコント』は「コント」×「コンテスト」のかけ算ですが、強いて言うならその「コンテスト」の規模を限りなく大きくしているというところに、この番組の価値があると思います。これは『M-1グランプリ』も同様。いや、この大規模コンテストの流れはそもそも、『M-1』が生んだものですね。
普段のネタ番組は見ないけど『キングオブコント』『M-1』は見るという人はたくさんいるはずです。それは両大会の視聴率が物語っています。
同じようなコント・漫才を放送しても、普段のネタ番組は見ないけどコンテストの時だけは見る。そういった視聴者は何を見ているのか?それは「人の人生が変わる瞬間」「人の人生の大舞台」を見ているのだと思います。つまり、両大会には“ドキュメンタリーとしての側面”があるのだと思います。
このドキュメンタリーの側面がある、いや、ドキュメンタリー性を感じさせられる番組は強いと思います。他でいうと『高校生クイズ』『SASUKE』『鳥人間コンテスト』『AKB48選抜総選挙』といった番組にはこれがあると思います。これは私の持論ですが、つまるところ“人間が1番面白い”ということです。
ドキュメンタリー性を感じさせるところまでいけた番組・コンテストやイベントは熱狂を生み、熱量の高いファンを生み出します。
では、『キングオブコント』『M-1』はどのような仕掛けでドキュメンタリー性を感じさせるところまでいったのか?
細かいところまで挙げればキリがないですが、大きなところでいうと「賞金1000万円という破格のご褒美を用意」「審査員やMCを豪華にして付加価値をつける」「無名芸人でもここで優勝したらタレントとして売れるという流れ」「事務所に所属していなくとも大会に参加できるようにして参加者数を多くする」など。これらは企画力というよりは、多くの大人を巻き込んでいく政治力・実行力があって成せるもの。
政治力を持たぬ者がこんな企画を生み出すことは至難の業ですが、企画にドキュメンタリー性を感じさせられるようになれば、そのコンテンツの面白さや需要は飛躍的に上がるということは頭の隅に置いておいていいのではないかと思います。それでは今日はこの辺で。
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