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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『喜劇 愛妻物語』水川あさみの役者魂
宮下かな子と観るキネマのスタアたち47

『喜劇 愛妻物語』役作りのため増量した水川あさみのお尻の肉感…その役者魂に感服

『喜劇 愛妻物語』役作りのため増量した水川あさみのお尻の肉感…その役者魂に感服の画像1
『喜劇 愛妻物語』(イラスト/宮下かな子)

 つい最近、どうしようもなく悲しい出来事があって。人生のベストスリーに入るくらいショックなことで随分気落ちしていたのですが「何か食べて元気つけないと」と思って、夜遅くに焼肉屋さんのお弁当をウーバーしたんです。そうしたら、お弁当が入ったビニール袋に〝ありがとうござ います! 肉食べてもう明日Happy Tomorrowだぜ!〟って書いてあって。泣きました。(笑)

 名前も顔もわからないけれど、こうやって人って人に救われて生きていくものだな、と感じた出来事でした。おかげさまで宮下は元気を取り戻しましたので、安心してください。

 泣きながら笑顔になる・笑うって、とても人間らしいなと思うのですが、皆さんは映画館でそういう体験ありますか?

 私は2年前に一度だけ、『喜劇 愛妻物語』で、爆笑しながら涙する体験をしました。脚本・監督した足立紳監督の自伝小説を原作に制作された作品なのですが、人間くさくて愛くるしくてエネルギーに満ちている作品で。公開時の2020年は、ちょうどコロナ禍。久しぶりに映画館に足を運んで鑑賞したということもあり、「あぁ映画ってやっぱりいいなぁ~」と胸がグッと熱くなって。あの時の体感は今でも心に残っているので、とても思い入れのある作品です。それがなんと先月からNetflix配信が始まったと知り、嬉しくって久しぶりに鑑賞しましたが、やっぱり笑って泣かされました。まさに喜劇。ご覧になっていない方には是非観て頂きたいと思い、今回は『喜劇 愛妻物語』をご紹介します。

 売れない脚本家の夫の豪太(濱田岳)と家計を支えるためパートに追われる妻のチカ(水川あさみ)、5歳の娘のアキ(新津ちせ)の3人家族。 収入もないのに脳天気で、チカとのセックスレスを改善することばかり考えている豪太と、そんな豪太に呆れ、罵倒しまくるチカ。ある時、豪太の脚本の映画化が決まり、運転免許のない豪太はチカとアキを連れて香川に取材へ行くことに。夫婦の行く末は如何に……。

 まずはじめに拍手を送りたいのは、妻の尻に敷かれている夫と罵倒する妻、この夫婦を見事に演じ切った水川あさみさん、濱田岳さんという抜群のキャスティングよ。

 チカのドカッ! と安定したお尻がアップで映し出される迫力あるオープニングから始まり、そこからノンストップで怒涛の罵詈雑言の炸裂。これほど眉間に皺を寄せ、終始怒鳴り散らす毒舌役って滅多にないんじゃないかな。水川さん、ずーっと怒ってます。笑う時はカラッと気持ち良い笑い声を響かせます。因みに水川さんは、役作りのため増量したらしく、お尻の肉感といい、家族を背負う母の逞しさが感じられる歩き方といい、全てが〝お母さん〟というか〝母ちゃん〟! って感じの身体作りまでまた素晴らしくて。

 かと思いきや、豪太との昔のホヤホヤ回想シーンでは、フレッシュで初々しい姿も見られ、しっかり演じ分けているから凄い。気力体力が要るであろう母ちゃんを、まさにチカ同様体を張って演じる水川さんに感服しました。

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