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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 映画  > 相葉雅紀主演ホラー映画を賞賛

相葉雅紀『“それ”がいる森』映画サイト軒並み酷評が「嘘だろ!?」な面白さ

「嘘だろ!?」を太平洋より広い心で楽しもう

 この『“それ”がいる森』のネタバレ厳禁要素は、実は映画開始から30分ほどで(人によっては5分程度で)もう「わかってしまう」ことである。ここで良い意味で「嘘だろ!?」と思えればその後をずっと楽しめるし、悪い意味で「そんなのが見たいわけじゃなかったのに……」と思ってしまうとその後がずっとしんどいと、賛否が分かれる理由はものすごくわかりやすかったりもする。

 筆者個人は「こういうの」が大好きなので、「やった!大好物だ!」「これから何が起こるんだ!?」とワクワクしたし、そこから期待していた通りの展開、さらには全く予想していなかった良い意味での超展開に大はしゃぎできた、というわけだ。

 また、笑いと恐怖は紙一重と良く言うが、本作は笑いのほうが完全に紙を突き破っていたので、もう手を叩きたくなるほどに笑えるコメディとしても楽しめた。また、良いにせよ悪いにせよ、映画館での周りの観客の反応はプライスレス、2度とない貴重な体験になるはずだ(筆者が観た回では観賞後にだいたい苦笑いされていた)。

 こればっかりは、観る人がどれだけの心の広さを持てるのか、そこにかかっているので、個人がどう言おうがどうしようもない部分ではある。だが、可能であれば太平洋より広い心を持とうという意気込みで、映画館に足を運んでほしいとだけは言っておこう。

エンタメホラーとしてちゃんとしている

 とはいえ、その「嘘だろ!?」は単なる出オチではなく、ホラーとして盛り上げる種々の工夫のおかげで、ちゃんと活かされているのは評価するべきポイントだ。

 例えば、「登場人物が必死で訴えていることを、周りの誰も信じてくれない」という、ホラーにおける王道中の王道と言える展開がある。主人公やごく一部の人が「自分たちでなんとかするしかない」状況に追い込まれるのでハラハラできるし、彼らの動向をしっかり応援できるようになっていた。

 また、起こる展開がどれだけ絵面としてバカバカしくても、登場人物たちが「いたって大真面目」いうことは大きい。わざとおちゃらけたり、変なリアクションを取ったりするのではなく、本気で彼らが“それ”に慄き恐怖し、真剣に立ち向かうからこそ「シリアスな笑い」が増幅され、やっぱり笑えるし楽しいのだ。

 終盤では、森の中以外の、意外なバトルの舞台を用意してくれている大サービスもある。「少しずつ大きなイベントを起こしていく」大筋をみれば、やはり正統派なエンタメに沿った内容なのだ。

ちょっと頼りないお父さん役がハマる相葉雅紀

 本作の目玉は、やはり相葉雅紀が主演を務めていること。そして彼が「ちょっと頼りないけど、とても優しくて息子想いな父親」役に見事にハマっていたことも賞賛すべきだろう。

 彼はとある事情で田舎に単身引っ越しており、急にやってきた息子と共同生活を始めるものの、どうにも親子関係がギクシャクしてしまう。そして、どれだけ息子の理解が得られないとしても、“それ”に遭遇し恐怖する息子のために奔走する様が、相葉雅紀というその人の親しみやすさや誠実なパーソナリティーのおかげか、心から応援したくなるのだ。

 そして、終盤に息子のために真正面から戦うお父さんこと相葉雅紀の姿が、それまでのちょっと頼りなかったギャップも含めてカッコよく見える。松本穂香演じる先生との、子どもを守る大人として共に努めようとする関係も見所だろう。

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