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アメトーーク「中学イケてない芸人」はもう時代に合わない?令和テレビの“イジり”の許容度

「イケてない芸人」ではなく「いじめられてた芸人」だった

「中学イケてない芸人」といえば、やはりあだ名エピソードは外せないだろう。シーズンⅠでは、サバンナ高橋の「リュックびちゃ男」大吉の「焼却炉の魔術師」オリエンタルラジオ・中田敦彦の「滝廉太郎」といったニックネームが出色だった。

 平子の中学時代のあだ名は、「パンツ」だそうだ。もともと、腕力が強かった彼は周囲から一目置かれ、それまでは「パンチ」と呼ばれていたらしい。しかし、小学1年の夏に、平子は学校でウンチを漏らしてしまう。

「汚れたパンツを友だちに見つかって、次の日から『パンチ』をもじったあだ名で、『ウンコのついたパンツ』略して『パンツ』っていうあだ名がついて、中学3年生までずっと続きました。(中略)もう、そこで悟りました。『僕はこの地元では、もう終わったんだな』って。『もう、そこから先は格が上がっていくことはないんだな』っていう。小1の時点で、もう悟りましたね」

 小学校生活でウンチ漏らしは致命傷だ。そもそも、あの頃は「学校でウンコをすることが恥」という共通認識が存在したものである。しかも、子どもはなかなか飽きづらい。だから、平子につきまとう噂とあだ名はいつまでも続いたのだろう。彼の言葉はあまりに重く、悲壮感がありすぎる。見るからにまだ傷が癒えておらず、聞いていて共に泣きそうになるレベルなのだ。バラエティの範疇じゃない。なぜか? 平子が語っているのは「中学イケてない芸人」のエピソードではなく、「中学いじめられてた芸人」の記憶だからだ。似ているようで、両者は種類が違う。

 鬼越・金ちゃんのあだ名もつらい。

金ちゃん 「夏場になってくると太ってるんで、やっぱり汗の臭いが当時はあって、一部の女子からなんですけど、『臭玉(くさだま)』って呼ばれてました」

高橋 「それ、陰でやろ?」

金ちゃん 「いや、直で」

 あだ名ではなく、これは悪口である。残酷すぎるし、ただのいじめだ。最近は“さん付け”を義務付けるあだ名禁止の学校もあると聞くが、その必要性を嫌な形で証明してしまっている。

 悲惨すぎて、さっきから番組がいまいち盛り上がっていない。

傷が癒えていない、アルピー平子のいじめ体験告白

 いよいよ、本格的にいじめの思い出が振り返られ始めた。やはり、平子のターンでだ。彼は中学時代、あるキーホルダーをかばんに付けていた。コルクの蓋が付いた小瓶に「香り玉」が入ったキーホルダーである。

「学校である日から、結構目立つグループの女子が僕のところに来て『平子、香り玉1個ちょうだい』って言うようになってきて『あっ、い、いいよ』って1個あげたら、『いい匂い、ありがとう』って行くんですよ。それが、その1人じゃなくて目立つグループからドンドン来るんです。『これはスゴいぞ、ご利益かな?』と思って、後々聞いたら『いっせいのイチッ!』とかのゲームで『負けた人が罰ゲームで平子から香り玉をもらってくる』っていう」

「僕が罰ゲームとわかった後でもまだゲームは続いてて、『香り玉、1個ちょうだい』って来ても僕は強く返せないから、『しょうがねえなあ、あげるよ』っていうのが無限に続いたんですよ」(平子)

 平子の話はすべて刺激が強すぎる。あと、「中学イケてない芸人」のエピソードに女子が絡んでくると、軒並み展開が暗くなる。トラウマになりそうな過去ばかりなのだ。番組が進むにつれ、平子の目もだんだんと死んでいった。傷が癒えていない芸人を呼ぶと、こちらも笑うに笑えない。平子のトークは「イケてない」というより、ずっといじめ体験告白に近い。

 性質やレベルの違いは、鬼越・坂井のトークからも感じた。

「唯一の学校の楽しみがあって。まず僕は登校すると保健室に行くんですけど、保健室の先生だけは優しかったんで。保健室のコップに水道水を入れるんですよ。それを保健室の冷蔵庫で冷やして、1、2時間目に地獄の授業を受けて、2時間目の休み時間に保健室に行って、冷やしておいた水道水を飲むのが楽しみで学校に行ってました」(坂井)

 ある意味、この手の企画は芸人がどれだけ話を盛れるかが鍵となるが、坂井のエピソードは作ろうにも作れない。つまり、彼の中学時代の暗黒も本物だ。そもそも、多くの人は中学時代にあまり保健室に行ったことがないと思う。

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