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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 島崎和歌子の“ガヤ的”司会術

島崎和歌子『オールスター感謝祭』の“ガヤ的”司会術「お酢は体にいいんでね」

「ケシの花が庭に咲いていたのは?(答え:板東英二)」

 さて、『オールスター感謝祭』のあとは『オールスター後夜祭』(TBS系)である。『感謝祭』が放送された日の深夜にはじまる芸人中心のこの番組。『水曜日のダウンタウン』(同前)を担当するスタッフが演出にかかわっていることもあり、お笑いに特化した企画が中心となってきた。

 ただ、最近は番組の面白さがパワーダウンしている印象があった。コロナ禍で出演芸人の人数が絞られたり、毒霧を吹きかけられるといったおなじみの「ちょっとした罰」がちゃんと見られなくなったりしたためだろうか。が、今回はそんな印象を吹き飛ばす、期待以上の面白さだった。

 ママタルトが漫才協会所属になっている。そのことを当人たちもクイズで知らされる。そんなことは序の口である。

 まず、「YouTubeチャンネルを開設しているのは?(答え:板東英二)」→「旧満州出身なのは?(答え:板東英二)」→「ケシの花が庭に咲いていたのは?(答え:板東英二)」→「YouTubeチャンネルを開設しているのは?(答え:板東英二)」→……と延々と同じ問題がつづく謎の坂東ループ。芸人たちからあがる阿鼻叫喚。そのループが終わっても、何のための繰り返しだったのかの説明は特になし。

 どうやら予選落ち(正解者のなかで回答タイムがもっとも遅い人が脱落する)で少しずつ減らしていき、最後の1人になるまで続ける趣向だったようだ。本家『感謝祭』で30年近く続く予選落ちシステムに新たなゲーム性が発見された時間だった。

 次に、ZAZY、スルメ、いかちゃんを集めて行われた高速フリップ-1GP。準備してきた2分のフリップネタをできる限り高速で披露し、どれだけの秒数を巻けたのか、そして面白いのかを競うゲームである。で、当然早口になって何を言っているのかわからない状態になったりするのだが、この設定で誰を連れてきたら一番面白くなるかの人選が的確。通常のクイズもそうだが、『後夜祭』は選択肢の設定が絶妙だ。

 そして、催眠ぬるぬる大相撲。クロちゃん(安田大サーカス)、あかつ、みなみかわ、とにかく明るい安村の4人を催眠術にかけ、ローションを使わずにぬるぬる相撲をやる企画である。催眠がかかり朦朧とした様子のクロちゃんは、「ローション……あります……」と画期的な細胞を発見した研究者のようなコメントを繰り返す。そんな状態で行われた取り組みは予想以上に面白かった。4人がホントに催眠術にかかっていたのかどうかはおいといて。そこは彼らが見ていたはずのローションと同じく、我々も「あります」と受け取ろう。

 なお、フジモンこと藤原敏史(FUJIWARA)のガヤはここでも光っていた。大鶴肥満(ママタルト)が「まーちゃんごめんね」と言うと「誰がわかんねん!」とストレートにすかさずツッコミを入れ、いかちゃんがネタで「シャキーン」と言うと「(オリエンタルラジオの)カッキーンなのよそれ」と広げてみせる。永野がソロのころのX JAPANのToshlの顔マネをすると「ホームオブハート」、もう中学生がゲームソフト『ファミコンウォーズ』の名前を出すと「こいつはどえらいシミュレーションやないねん」など、彼の脳内にある昔のゴシップやサブカルチャーのアーカイブから的確にワードを引っ張り出してくる。

 その場に声を足して盛り上げるだけでなく、画面上の現象に別のレイヤーを重ねていく。そんなフジモンのガヤ。そう考えてみると、ちょっと矛盾した表現になるかもしれないけれど、本家の『感謝祭』で島崎和歌子がやっているのもガヤ的な司会なのかもしれない。

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

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いんようてれび

最終更新:2023/02/27 18:56
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