爪切男VSベッド・イン 風俗とバブルに狂い咲く男と女、“人間賛歌”の延長戦!
#本 #インタビュー
風俗に通う男とバブリーな女の楽しさと刹那さと
爪:僕の読者は男性だけじゃなくて、意外と人妻さんなんかもいるんです。「夫にはナイショで読んでます」って声をかけられることも多いですね。
益子寺:あ~ん! 人妻…♡ タマランチ会長~!
中尊寺:ヤダぁ! 私も人妻だから、爪さんのストーリーが奥までキマくりやがるのかもしれません……。
益子寺:でも、私たちのおギグにも、家族や周りにはナイショで遊びに来て下さる性徒諸クン(ベッド・インのファンの呼称)もいるんですよ。OLさんとか学校の先生とか、普段はおカタイお仕事をしてる皆さんも“5時から女”よろしく、ボディコンを着てこっそりきてくれたり……♡
中尊寺:私たちのおギグが秘め事になっているみたいで嬉しいですよね。秘め事って、美しいじゃないですか。
爪:僕はベッド・インさんの曲や活動に、バブルのきらびやかな面だけじゃなくて、どこか物悲しさも感じているんです。僕にとっても、風俗ってどんなにいいプレイができても帰り道はすごく切ないというか、気持ち良いと楽しいは常にイコールじゃないんですよね。そこは共通しているのかも。
中尊寺:バブルも刹那的な時代ですからね。
益子寺:私たちは、気付けば実際のバブル時代よりもウォンビーロングに続いちゃいました!(笑)
爪:僕の場合「爪切男はへビーなエピソードをユーモアで乗り越えようとする。そこが泣ける」とか、読者が勝手に裏を感じてくれるんですよね。どう受け止めてもらってもいいし、好きに読んでもらえればいいんです。
中尊寺:私たちも、イェ~イ! って感じでアーパーにバブルをやってますけど、私たちのおギグを見て、なぜかバナナの涙を流してくれる性徒諸クンもいるんです。その涙の理由はそれぞれにしかわからないことだけど、自分たちのことをどう受け止めてもらってもいいっていうのは同感です。大きなことを言うようですが、ナニかを感じてもらえたら最高! って感じなんです。
益子寺:でもたしかに、爪さんの本ってホロっと泣けてくるところもあるけど、絶対に笑えちゃうんですよ。読み終わった後にネガティブな感情にはならなくて。『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)の、爪さんが子ども時代の借金取りとのエピソードとか、君は1000%重くてつらい出来事のはずなのに、なぜかクスっと笑ってしまう!
読んだ後、前向きで元気びんびん物語になれる……栄養ドリンクを飲んだみたいな感覚になれるんですよね。だから爪さんの作品がDAISUKI!
爪:生まれてすぐに母親に捨てられて、借金のある家でとんでもないスパルタな親父に育てられてきたし、スポーツができなくて、顔もカッコよくない。小学4年のとき、親父に「お前は不細工だから将来苦労するだろう」って身もふたもない事を言われましたよ。でも、「大人になったら人を顔だけで見ないイイ女が出てくるから、そのときがお前の狩りの季節だ。それまでは、狩る技術を磨いとけ」と救いの言葉も言われていて(笑)。
親父にそう言われたとき、僕がつらい人生を生き抜いていくのに必要なのは発想の転換だと思ったんです。小さい頃、「スーパーマリオ」のゲームが流行ってて、同級生はみんなマリオに憧れていたけど、僕はクリボーだったんです。マリオに踏み潰されるクリボーの気持ちを考えずにはいられなかった(笑)。クリボーである自分はどうすれば楽しく生きていけるのか。そういう考え方は、小さい頃から癖になってましたね。
中尊寺:弱い立場の気持ちに寄り添える方なんですね。素敵だと思います。
爪:その後、親父の言った通り、暗黒の青春時代があったんですけど(笑)。高校のとき、好きな女子から「君の笑顔って虫の裏みたいな顔してる」って罵倒されても、センスがある悪口だなと思って笑えましたし。
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