爪切男VSベッド・イン 風俗とバブルに狂い咲く男と女、“人間賛歌”の延長戦!
#本 #インタビュー
数多の風俗嬢とのプレイをはじめ、女性たちとの体と心の交歓を私小説で綴る作家・爪切男と、バブル期をリスペクトする激マブ地下アイドルユニットのベッド・イン。
爪切男の新刊『きょうも延長ナリ』(扶桑社)は、彼が今日も今日とて風俗に通い、珍奇なプレイを繰り広げた日々を綴ったエッセイ。ベッド・インの益子寺かおり&中尊寺まいが本書に帯文を寄せたことがきっかけで、今回、鼎談が実現した。
爪切男の、平均よりちょっと低めの体温を感じさせる作風と、ベッド・インの益子寺かおり&中尊寺まいのバブリーなテンションは、一見すると正反対のものに思えるかもしれない。が、意外やどうして両者の相性はバッチシ。「おチンパシー」(byベッド・イン)を感じ合うという3人の話は、どこか“戦友”の雰囲気さえ感じさせるものだった。
風俗とバブル、延長戦のゴングが鳴り響く――!
爪切男と風俗嬢たちの一本勝負とプロレス魂
爪切男(以下、爪):実はベッド・インのお2人とは前からお付き合いがあるんです。でも、お仕事で絡むのは初めてです。僕は今日、異種格闘技戦だと思って臨みます(笑)。ベット・インのバブリーなお下劣さは、もはや伝統芸能の域に達してますから。海老一染之助、染太郎みたいな。そんな人たちと戦うのはものすごく緊張しますよ。
益子寺かおり(以下、益子寺):まいっちんぐぅ~! ウチらは単純に“ねるとんパーティ”だと思って来てますよ? だって、爪さんをイイ男として見てますから♡
中尊寺まい(以下、中尊寺):そうそう、こう言っちゃなんですけど、完全に性の対象として見させていただいてますから……♡
益子寺:お互いのGスポットを探り合うみたいな感じでね♡ わたしは爪さんとは共通の友達に女子プロレスラーの松本都ちゃんがいるんですけど、ある夜「BARで一緒に飲んでいるから来ない?」と誘ってもらって、プライベートで一緒にゴックンさせていただきました!
中尊寺:実は私も以前、自分がチーママとして勤めているスナックに遊びに来ていただいたことがありました。会ってすぐ意気投合からの即ハメな感じで……もはや一心同体、性感帯~♡
爪:僕の新刊『きょうも延長ナリ』は風俗エッセイなので、編集者と「帯文を誰に書いてもらうか難しいね」と話していたんですよ。風俗を題材にしているけど、この本には僕なりの人間賛歌を目一杯詰め込んだつもりです。だからこそ、風俗を敬遠しそうな人たちにも読んでもらいたいと思っていたこともあって、ベッド・インさんのことが頭に浮かんで。お2人のように、全てを超越しているような存在、最高の「イロモノ」に帯文を書いてもらったほうが、この本のニュアンスに合うなと思ったんですよね。
中尊寺:そんな風に言っていただけるなんて、マンモスうれPです!
益子寺:ポケベル鳴らしてもらって光栄です!
爪:お2人の文章を読んで、間違いじゃなかったと思いましたよ。一見、ふざけているようで、本質を突いたことを書けるのは真の知性ですから。
中尊寺:いや~ん、痴女の「痴」ですか~!? セキメーーーーーーン///
爪:どっちでもいいです(笑)。
益子寺:『きょうも延長ナリ』には、風俗嬢の方々との情緒あふれる名試合がたくさんありますよね!風俗ルポっていろいろな本が出ていると思うんですけど、爪さんの場合は“性”に特化しているのではなく“対人間”としての試合を感じられて、感情を揺さぶられました! プロレスって、技の一つひとつにプロレスラーの生き様が見えるじゃないですか。それと同じように、お互いの人生や生き様が垣間見えるような描写やエピソードばかりでシビれましたね。風俗嬢の方とのマッチメイクもやまだかつてないクリエイティブさで、ぶっとびぃ~! の連続!!
爪:お店側からするとただの迷惑客ですけどね(笑)。『きょうも延長ナリ』にも書きましたけど、風俗嬢におにぎりを作ってもらうために、家で炊いたホカホカごはんをタッパーに入れてお店に行ったりするし。予約の電話を入れたときは笑っていた店長も、いざ準備万端の僕が現れると「あーあ、本当に来ちゃったね」っていう感じでしたよ。
益子寺:これって同性ならではの目線かなとも思うんですけど、私は爪さんの無茶ぶりなプレイに全力で応えようとする風俗嬢の方たちのプロフェッショナルな姿が、すごくカッコいいと思いました! 惚れちゃう…!
『きょうも延長ナリ』にもありましたけど、例えば「雪女になってほしい」という爪さんのオーダーを受けたイメクラ嬢が、ただコスプレするだけじゃなくて、自ら冷水に浸かって身体を冷たくしたエピソードには、プロレス魂を感じて感動しちゃいました……!
爪:読者からは「爪さん、いい経験されてますね」って言われるんですけど、野球で言ったら打率は2割7分くらいなんですよ。「雪女」とかエッセイの題材にしているのはヒットのほうで、7割以上の凡打があることもわかった上で読んでもらえると、より楽しめると思います。かけがえのない凡打があるからこそ、次は「こういった感じで攻めよう」と前向きに思えるんです。
例えば、目の前にいる彼女の裸の向こう側には、僕の知らない過去の男たちが数多に存在するわけですよ。『北斗の拳』の夜空に浮かぶ強敵たちの顔じゃないですけど。そういう彼女の歴史を感じた上で、限られた45分間を楽しみたいんです。
中尊寺:相手の過去は知りたくないって男性も多いじゃないですか。でも、爪さんはそういう女性の機微もわかってくれている気がして、珍プレー喉プレーありきの風俗レポートというよりは、ラブストーリーを読んでいるような錯覚を覚えるんですよね。
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