新作『裸のムラ』は日本社会の縮図 五百旗頭監督が地方にこだわる理由
#映画 #インタビュー
五百旗頭監督と東海テレビとの関係性
――『はりぼて』、そして『裸のムラ』を観ていると、『ヤクザと憲法』(16年)や『さよならテレビ』(20年)などで知られる東海テレビのドキュメンタリー映画を彷彿させます。影響を受けた部分はある?
五百旗頭 東海テレビとは、民放連賞の中部北陸地区審査で同じブロックになるので、東海テレビのドキュメンタリーに勝てないと、中央の審査に進めませんでした。ライバルと呼ぶとおこがましいのですが、意識せざるをえない存在でした。東海テレビのドキュメンタリーには刺激を受けてきましたし、ローカル枠で放映したドキュメンタリーを劇場公開することを始めたのも東海テレビ。東海テレビが道を開いてくれたおかげで、『はりぼて』や『裸のムラ』も劇場公開につながったわけです。東海テレビのドキュメンタリーはリスペクトしていますし、おそらく無意識下でも影響を受けている部分はあるでしょうね。
――次回作は決めていますか。
五百旗頭 いくつか取材は進めており、企画は考えてはいますが、まだ明確には決めてはいません。でも、やることは変わりません。地方からこの国の普遍的な問題を描くという視線はこれからも変わらないと思います。石川は本当におかしなところなので、いろんな題材が転がっているんです(笑)。東京に行かなくても、石川を日本の社会の縮図として捉えれば、今の日本全体に通じる問題を描くことができるはずです。石川という地方から、多くの人が関心を持ってくれるような番組や映画を今後も作っていきたいと考えているんです。
『裸のムラ』
監督/五百旗頭幸男 撮影/和田光弘 編集/西田豊和 音楽/岩本圭介 音楽プロデューサー/矢﨑裕行 プロデューサー/米澤利彦 制作/石川テレビ放送
配給/東風 10月8日(土)よりポレポレ東中野、金沢・シネモンド、10月14日(金)より京都シネマ、10月15日(土)より大阪・第七藝術劇場ほか全国順次公開
©石川テレビ放送
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五百旗頭 幸男(いおきべ・ゆきお)
1978年兵庫県生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業、2003年にチューリップテレビに入社。スポーツ、県警、県政などの記者を経て、ニュースキャスターに。2016年12月に放映された『はりぼて~腐敗議会と記者たちの攻防~』は文化庁芸術祭賞優秀賞などを受賞。2020年8月に映画『はりぼて』として劇場公開された。2020年3月にチューリップテレビを退職し、同年4月に石川テレビに入社。ドキュメンタリー番組『裸のムラ』『日本国男村』などを制作している。
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