新作『裸のムラ』は日本社会の縮図 五百旗頭監督が地方にこだわる理由
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元人気プロレスラー、馳浩新知事に対する評価
――新日本プロレスの人気プロレスラーから、森喜朗元総理の後ろ盾を得て国会議員に、そして谷本知事の後任に選ばれたのが馳浩新知事。派手なパフォーマンスが得意で、選挙中から「石川新時代」を謳いながらも、知事就任初日の記者会見でのコメントがまるで具体性がないことには唖然とさせられました。
五百旗頭 これが地方政治の実情なんです。中身のない就任のあいさつでしたが、県庁関係者も地元メディアもみんな、それが当たり前だと思っているわけです。地元の記者は質疑応答の場で「ご就任おめでとうございます」という言葉を恥ずかしげもなく使っています。県政に対して、批評的な立場で報道しようというメディアがほぼいない状態です。
――県知事選挙には、馳知事の妻・高見恭子さんは姿を見せなかった。
五百旗頭 そうですね。長女は選挙を手伝っていましたが、高見恭子さんはいなかった。知事就任後も、家族は東京に残って、馳知事だけ単身赴任という形のようです。
――馳知事は将来的には国政に戻るつもりなんでしょうか。
五百旗頭 どうでしょうか。今の脇の甘さを見ていると、国政を到底任せられるとは思えません。谷本前知事は任期終盤は失言が目立ちましたが、記憶力はよく、記者会見はほぼひとりで対応していました。会見時の馳知事はことあるごとに職員を呼び出し、記者からの質問を職員に回答させています。パワハラやセクハラと誤解されかねない発言もあるようです。自民党に籍がありながら、日本維新の会の顧問に先日就任し、波紋を呼んでいます。今年3月に県知事に就任したばかりなのに、かなり危なっかしいものを感じさせます。
――当然のことですが、プロレスラーとしての人気と政治家としての力量はまったくの別物であることを痛感させます。
五百旗頭 政治は筋肉でやるわけではありませんからね。乗りと勢いだけでは、政治はできません。だからこそ地方政治の取材では、本質的なものが見えてくるんだと思います。馳知事を取材したのは選挙前から選挙中の限られた期間でしたが、限られた時間の中からも、いろんなものが見えているように感じます。(5/7 P6はこちら)
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