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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 地方政治のおかしさあぶりだす『裸のムラ』
五百旗頭幸男監督インタビュー

新作『裸のムラ』は日本社会の縮図 五百旗頭監督が地方にこだわる理由

水差しを用意する女性職員が、重要なモチーフに

新作『裸のムラ』は日本社会の縮図 五百旗頭監督が地方にこだわる理由の画像4
県知事用の水差しを用意する県庁の女性職員

――長年組んできたチューリップテレビ時代のチームを離れたわけですが、その点は支障はなかった?

五百旗頭 「他の局に移ったら、うまくいかないよ」とよく言われました。でも、キー局や準キー局が分業化しているのに対し、ローカル局ではひとりで何でもやらなくちゃいけないんです。現場取材から、映像の編集まで自分でやるわけです。ドキュメンタリーはひとりでやる部分が多いので、職場が変わっても大きな違いは感じませんでした。

 それに『はりぼて』からスタッフはそれほど変わっていないんです。『はりぼて』のカメラマンだった西田豊和さんは、僕がチューリップテレビを辞めた頃にフリーになられ、『裸のムラ』には編集で参加してもらっています。基本、僕が編集作業をオペレートするんですが、西田さんに一歩引いた視点からさまざまなアイデアを出してもらい、ブラッシュアップしていきます。例えるなら、僕が作曲家だとすると、西田さんは編曲担当。そんな関係です。音楽プロデューサーの矢﨑裕行さんは、ユニークな音楽を付けてくれた『はりぼて』に続いて参加してもらっています。

 いちばん大きな違いは、カメラマンが変わったことですが、一定の技量を持ったプロのカメラマンなら、きちんとコミュニケーションを図れば問題ないはずです。カメラマンの和田光弘さんとは初めてでしたが、和田さんは僕の過去の作品を観てくれ、またしっかりディスカッションして取材に臨みました。後は僕がカメラマンの瞬発力を信じるだけです。石川県庁の女性職員が県知事のために水差しを用意するシーンが何度も出てきますが、最初に撮ったのは和田さんでした。僕がいないときに和田さんが撮った映像を見て、「これは面白い」と感じ、それからは狙って撮ってもらうようにしたんです。

――女性職員が水差しを用意するシーンは、石川県庁の保守性の強さを象徴したものになっています。

五百旗頭 秘書課の女性職員が、県知事専用の水差しをいつも用意しています。水差しに付いた水滴まで丁寧に拭っている様子が「知事のためにそこまでしなくてはいけないのか」とすごく印象に残りました。谷本前知事だけでなく、新しい馳浩知事にも受け継がれていくわけです。誰もおかしいとは感じなかったらしく、いつから始まったことなのかは不明です。でも、あのシーンを見た女性の方から「いろんな気遣いができるのが女性。よかれと思って、やっていることですよ」という声もいただきました。いろんな見方、いろんな意見があっていいんじゃないでしょうか。(4/7 P5はこちら

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