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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > ジャニーズJr.海外記事の「地の文」の意味

Travis Japanが「本家ビルボード登場」も…ジャニーズが素直に喜べない「地の文」

Travis Japanが「本家ビルボード登場」も…ジャニーズが素直に喜べない「地の文」の画像
事務所公式サイトより

 ビルボードジャパンに転載される際は、どのように訳されるのだろうか。

 ジャニーズJr.による7人組ユニット「Travis Japan」がアメリカの「ビルボード」誌にインタビューされ、話題を呼んでいる。

 2012年に結成されたTravis Japanは今年3月下旬より、日本での活動を休止してアメリカ・ロサンゼルスに“無期限”留学中。世界最大級のダンス大会『WORLD OF DANCEチャンピオンシップシリーズ』ではアメリカでの全国大会で4位、世界大会ではチーム部門で9位入賞となり、人気オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』にはセミファイナルまで進出したことで注目を集めている。

 米ビルボード誌は、今年7月に彼らが『アメリカズ・ゴット・タレント』の審査員オーディションに合格した際、短く記事にしたことはあったが、今回はインタビュー記事であり、扱いが大きく変わった。セミファイナルでの敗退とはいえ、そもそもJ-POPのアーティストがアメリカの全国放送でパフォーマンスをすること自体がきわめて珍しく、注目に値することだったからだろう。

 このインタビューでは、3月27日に開催された『WOD』の地区予選での彼らのパフォーマンスが『アメリカズ・ゴット・タレント』のプロデューサーの目に留まり、番組出演のオファーが届いたことや、実力不足を感じ、セミファイナル敗退の翌日には練習を再開したこと、歌のトレーニングはそれまで週1回だったが、週2~3回受けるようになったことなどを語っている。『アメリカズ・ゴット・タレント』のオーディションでは審査員との会話はすべて、もともと留学経験があり英語が得意だった川島如恵留のみが行っていたが、それはオーディションが渡米直後の4月に撮影されたもので、他のメンバーの英語力がまだまだだったためだとか。

 「本家」ビルボードからインタビューを受けたことについて、すべて英語のツイートで世界に向けて情報発信をしているジャニーズ事務所の公式Twitterアカウントは喜々として報告。一部スポーツ紙でもこうした内容が報じられているが、しかし元の記事は称賛一辺倒のものではない。むしろ手厳しい言葉も並んでいる。

 たとえば、セミファイナルでは審査員ハウイー・メンデルから「音程を外しているし、ラップもよくない。まるで何かのパロディだ。それか『サタデー・ナイト・ライブ』のスケッチ(コント)だね。ライザ・ミネリが日本に行ってボーイズグループを作った、みたいな感じの」とコメントされていたが、「音程を外している」等の部分は削られていたものの、こうした厳しい批評を受けたことについても質問を投げかけられている。これについて川島は、日本での自分たちはジャニーズ事務所によって常に守られていたとした上で、渡米したことでそうした現状から抜け出し、自分たちの本来の力を試すことができる、と前向きな見解を示した。

 この記事を取材・執筆したライターは、SNSでこの記事を紹介する際、「番組について、LAでの生活について、そして批判から守られてきた環境から脱却することの重要性について語った」と綴っており、ジャニーズタレントに対する批評が日本国内で機能していないことを示唆している。このライターは東京在住でJ-POPに精通しており、ジャニーズと大手メディアの関係性も理解しているのだろう。

 また地の文では、ジャニーズ事務所がCD発売にこだわっており、デジタル配信にきわめて消極的であることや、タレントの露出方法を“コントロール”していることなどにも触れられている。特に、アメリカで“活動”しているジャニーズグループのインタビュー記事の中で、サブスクリプション型音楽配信サービスの拡大によって国外でも存在感を強めているJ-POPアーティストが増えつつあるとした上で、ジャニーズ楽曲のほとんどがサブスク解禁されていない現状を紹介しているのは、ジャニーズ事務所の戦略に対する批判と取らないほうが不自然だろう。

 『アメリカズ・ゴット・タレント』敗退について、「自分たちの限界を理解することができた。だから将来、今ある限界の壁を破ってネクストレベルに行きたい」と発言していた川島。“ジャニーズ所属であることの限界”を感じていないことを祈るが……。

加賀美ジョン(音楽ライター)

洋邦問わず、音楽にまつわる編集・ライティングで十数年。クレジットを眺めるのが趣味。

かがみじょん

最終更新:2022/09/26 12:00
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