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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 唯一無二となった秘訣は『エロ目線』
アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~

『全力坂』なにげに17年続く長寿番組に―唯一無二となった秘訣は『エロ目線』?

人を引きつける『エロ目線』とローコストの2点

 まず私が男性だからかもしれませんが、理由として1番に浮かぶのは「エロ目線」。女性には呆れられると思いますが、女性が全力で走る姿や走り切った後の乱れた呼吸に、男性は本能的に感じるものがあると思います。こういった時に、それを理解できない人から挙がる意見が「それならAVでいいじゃん」なのですが、そういうことではないんです。あからさまに狙ったコンテンツではないものに感じる、独特のエロチシズムのようなものがあるんですね。

 そして、普段は絶対に見ることができない「大人の女性の全力疾走」にも本能的に何かを感じている気がします。人間は普段は見られないものを見ることに喜びを感じる生き物。極端な話、普段から女性が上半身裸で街中を歩いていたら、世の男性はそれほどおっぱいが好きではないでしょう。普段は見られないからこそ、それを見られた時に嬉しいわけです。

 不快に思われた読者の方、申し訳ありません……。

 実際、普段は見られない女性の全力疾走が流れる画面からは圧倒的な違和感が放たれています。17年も続く番組ですから今となってはその違和感も薄れていると思いますが、初めて見た時は誰もが、えも言われぬ違和感を覚えたはずです。

 あとは『全力坂』が名企画たりえている理由としては「永続的に続けられること」だと思います。

 どれだけ面白くても1回きりしか出来ないならテレビ番組として成功は出来ません。以前、日本テレビ系『24時間テレビ』のマラソン企画が秀逸であるという記事を書いた時にも述べたのですが、『全力坂』も「誰でも出来る」「走る坂はたくさんある」ため、同じフォーマットで何度でも続けていけます。

 もし走る女性が有名人じゃなければ見てもらえないなら、キャスティングが難航したり、回を重ねるごとにグレードダウンしている感が出ますが、そういった問題もありません。

 これは走る坂についても同様です。もし「絶景を走る番組」だったならば、回を重ねるごとに景色が弱くなっていくグレードダウン感が出るのですが、我々視聴者は坂にそんなに期待していません(笑)。

 もう1つテレビマンの視点で挙げるとするならば「ローコスト・ローカロリー」で撮影できることも素晴らしいと思います。

 例えば、同じミニ番組の『世界の車窓から』はスタッフが海外に行かなければいけませんし、『キューピー3分クッキング』は料理の材料費や料理を監修するプロの存在が必要なはず。『全力坂』は基本的には走る女性のキャスティング費のみ。それもそこまで売れているタレントを使っているわけでもないですし、高額ではないでしょう。おそらく陸上のプロに監修してもらっていないでしょう(笑)。

 東京の坂を探すリサーチにもそ、れほど労力はかかっていないはずです。撮影も1日でかなりの数を貯め撮りしているはず。さらには編集もそれほど労力や費用がかる類のものではありません。(もちろん、実際に制作にあたる方々からすれば、我々に想像できないさまざまな苦労がおありのこととは思います。申し訳ありません。)

 そういった運用面などから見ても『全力坂』はいい企画だなと思います。それでは今日はこの辺で。

放送作家。松本人志・高須光聖がパーソナリティを務めた東京FMのラジオ「放送室」で行われたオーディションをきっかけに放送作家の高須光聖に師事。以降、テレビやYouTubeでさまざまな番組を担当。主な歴代担当番組は『くりぃむナントカ』『シルシルミシル』『めちゃ×2イケてるッ‼』『ガキの使い 笑ってはいけないシリーズ』『得する人損する人』『激レアさんを連れてきた。』『新しい波24』『1周回って知らない話』『ゴン中山&ザキヤマのキリトルTV』『GET SPORTS』『ヨロシクご検討ください』『青春高校3年C組』『今田×東野のカリギュラ』など。

Twitter:@kikakusouko

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ふかだけんさく

最終更新:2023/02/28 06:36
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