秋元康がまたまたアイドルをプロデュース! AKB48を成功させた怒涛の“企画の掛け算”
#AKB48 #深田憲作 #企画倉庫 #アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~
放送作家の深田憲作です。
「企画倉庫」というサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこの連載をやらせてもらっています。
今回のテーマは「企画としてのAKB48について」です。
先日、秋元康さんが新規アイドルグループの総合プロデューサーに就任したというニュースが報じられました。
秋元康さんは現在64歳。ここへ来て新規アイドルをプロデュースする、秋元さんのバイタリティーにも驚いたのですが、そのアイドルのコンセプトにも驚かされました。そのコンセプトが「ブロックチェーン技術とメタバースによる活動領域の拡大」。暗号資産で資金調達をして、グループの活動資金にしていくということのようです。このコンセプトには、エンタメの新時代を感じさせられました。
そんなニュースがあったので、今回は秋元康さんの代表作であるAKB48を「企画」という観点から考えてみました。メンバーの個性や楽曲の良さなどさまざまな成功要因があると思いますが、AKB48は“企画勝ち”したアイドルグループだと思うからです。
中でも、AKB48における最高の企画の1つが「選抜総選挙」でしょう。
楽曲を歌う選抜メンバーをファンの人気投票で決めるというイベントです。投票はファンクラブに入会するか、シングルCDに封入されている投票券を入手して行うというもの。読者の皆さまもご存じの通り、一時期、この「AKB48選抜総選挙」はファン以外にとっても大きな関心事となり、国民的行事とも呼べるものでした。総選挙の様子を生中継したテレビ番組は毎年高視聴率を記録。
この総選挙によって、AKB48グループに所属する全てのメンバーにストーリーやドラマが生まれ、視聴者は1人の人間の晴れ舞台を目撃しているような気持ちで見ていたように思います。
それまでは全くアイドルに興味がなかった人が、総選挙を通じて1人のアイドルに関心を持ち、グループ自体のファンになっていったという人が多くいるはずです。笑顔で歌い踊る舞台上の姿ではなく、人気投票で上位に入るために頑張る舞台下の姿に多くの人が関心を持ったわけです。
そして、AKB48といえば「会いに行けるアイドル」というコンセプトが有名ですが、これを象徴するのが握手会。この握手会への参加券もCDに封入して販売されていました。
先述した総選挙の投票券然りですが、CDを曲としてだけではなく「総選挙で投票する権利」や「握手会に参加できる権利」として価値をつけることで、セールスに繋げていたわけです。これこそがAKB48のビジネス的な側面での最も大きな成功要因ではないでしょうか。
キングコングの西野さんはこれを「意味変(いみへん)」という言葉を使って説明していました。AKB48のCD以外だと、社会現象になった「ビックリマンチョコ」も例に挙げています。ビックリマンチョコもお菓子としてではなく、封入されたキャラクターシール欲しさで子どもたちがチョコを買っていました。
ヒットの裏にはこの「意味変」があるとして、自身の絵本作品「えんとつ町のプペル」も「おみやげ」や「贈り物」に“意味変”して販売したそうです。
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