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スーパー・ササダンゴ・マシン"流行"を考える〈ポップカルチャー生涯学習〉

『HiGH&LOW THE WORST X』監督・平沼紀久vsプロレスラー「負けたほうがオイシイんです」

『HiGH&LOW THE WORST X』監督・平沼紀久vsプロレスラー「負けた人のほうがオイシイんです」の画像1
写真=石田寛(以下同)

 K-POP、2.5次元、タピオカ、韓国ドラマ…etc.「流行る」カルチャーには理由がある! DDTプロレスリングのレスラー兼タレント兼新潟県の金型工場「坂井精機」代表取締社長のスーパー・ササダンゴ・マシンが、世の中の流行を眺めながらプロレスとDDTの未来を考える連載。

 今回は特別編として、公開中の映画『HiGH&LOW THE WORST X』で監督を務める平沼紀久氏をお招きして、大人気「ハイロー」シリーズをさまざまな視点から語り合います。

後編はこちら↓

第3巻 イントロ命なハイロー曲、そこに宿るプロレス魂の回

※映画『HiGH&LOW THE WORST X』のネタバレを含みます。

スーパー・ササダンゴ・マシン(以下、ササ) 「HiGH&LOW」シリーズ、ほぼ全作観させていただきました。以前から「観なきゃ」と思っていたんですが、いざ観始めたら……もう、面白くて止まらなくて。

平沼紀久氏(以下、平沼) そんなにですか! ありがとうございます。

ササ 2週間で一気観してしまいました。『HiGH&LOW THE WORST X』(以下、『X』)も超面白かったです。今や『クローズ』の世界とクロスオーバーしているなんてまったく知らなくて、「いつの間にこんな面白いことやってるんだ、プロレス業界も混ぜてくれよ!」と思いました(笑)。最初のドラマシリーズは放送中に何回か観たことがあったんですよ。ドラマ自体が格闘技の煽りVみたいなつくりで、最初から壮大な世界を描こうとしているじゃないですか。当時から「すごいな」と思っていました。

平沼 HIROさんもプロレス大好きなんで、その要素はめちゃくちゃ入ってるんです。コブラなんかまさにそうなんですけど。

ササ ジャーマン・スープレックスしてましたもんね。テレビドラマでは、なかなかやらないですよ、危ないですし。

『HiGH&LOW THE WORST X』監督・平沼紀久vsプロレスラー「負けた人のほうがオイシイんです」の画像2
平沼紀久(ひらぬま・のりひさ)1976年10月21日生まれ、神奈川県出身。2000年に俳優デビュー。劇団の立ち上げなどを経て、18年『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』で映画監督デビュー。

平沼 プロレスって入場曲が絶対あるじゃないですか。「HiGH&LOW」でチームにテーマ曲があるのは、そこを意識してるんです。曲が鳴って、それぞれのチームが登場してくるという。

ササ やっぱりそこは意識されてたんですね! それがすごく観やすかったんですよ。曲が鳴り出してから地平線の向こうにシルエットが見えてくるっていう順番じゃないですか。そこで出てくるのがローライダーの達磨一家なのかダンプカーの鬼邪高校なのか、音楽によってすでにわかった上でテンションを上げられるんですよね。

平沼 だからイントロ命なんです。イントロでブワッと上がる要素を入れることにはこだわってますね。どのタイミングでイントロをかけるのが一番かっこいいか、みんなで毎回頭をひねってます。今回の『X』だと鈴蘭のテーマ(「We never die」BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE)で苦戦したんですけど、結果としてすごくいいイントロができました。

『HiGH&LOW THE WORST X』監督・平沼紀久vsプロレスラー「負けた人のほうがオイシイんです」の画像3
スーパー・ササダンゴ・マシン:1977年11月5日生まれ、新潟県出身。DDTプロレスリング所属。主催興行「マッスル」シリーズでは総合演出を担当。通常のプロレス興行とは一線を画したエンターテインメント性の高い内容で話題を呼ぶ。

ササ 僕、「JUMP AROUND ∞」(鬼邪高校のテーマ)の原曲(House Of Painの楽曲)がめちゃくちゃ世代なんですよ。観ながら「ここでこう流れるか!」って大喜びしちゃいました。

平沼 我々、ほぼ同い歳ですよね。あれは僕らの世代だと、クラブでみんなでぶつかりあってケンカして盛り上がってた曲ですよ。

ササ なにせビタッとハマっていて最高でした。平沼さんは『X』では監督を務められてますよね。今日はせっかくの機会なので、演出についても聞かせてください。すごくプロレス的な見方になるんですけど、「HiGH&LOW」は毎回ホリプロとかスターダストとか、いろんな事務所の俳優さんが出てるじゃないですか。若手のエース格の方々が事務所の看板背負ってやってきて、それをLDHの方々が迎え撃つ格好になってるわけで、現場は実際どういう感じなんですか?

平沼 うーん、そうですね、俳優さんは事務所だとかそういう考え方はあんまりないんで、全然ギクシャクしたりはしないです。「俺はしっかり演技でこの空間を埋めないといけないんだ」って使命を持って来てくれて、そこでしっかりと芝居をつくってくれる。一方、アーティストでもある人たちはMV慣れしてるんですよね。だから「この角度でこう見せるのが一番かっこいい」というのがわかっていて、ケレン味のあるカットは俳優よりもうまかったりする。それぞれ考え方がちょっと違って、そういうところを含めてみんなが切磋琢磨してました。

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