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監察医、科捜研… 医療ドラマ百花繚乱も実は、解剖の実施は10%程度

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 検死解剖や監察医を主役にしたテレビドラマは多い。しかし、検死や解剖の実態については、ほとんど知られていない。死因の究明はどのように行われているのか? 厚生労働省の「令和4年版死因究明等推進白書」から見てみよう。
 https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/shiinkyuumei/22/index.html

 日本は高齢化の進展とともに、“多死社会”に突入している。その多くは病因など専門施設で亡くなるが、一方で孤独死や突然死も増加している。

 死亡数の増加に伴い、警察が取り扱った死体の数は、1998年の10万7173体から2008年の16万1838体に徐々に増加したが、そのうち、死因を明らかにするための有効な手段の一つである解剖が行われた割合は、10%前後にとどまっていた。(表1)

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 しかし稀に、「警察が犯罪性は認められない」として取り扱った死体のうち、後に犯罪行為による死亡であることが明らかとなる犯罪死の見逃し事案が発覚したことも背景にあって、2020年4月に死因究明等推進基本法が施行された。

 死因究明には、様々な調査が実施される。死因が薬毒物によるものかを調べるために、薬毒物検査が、また、CTやMRIなどにより画像診断することで死因の究明が行われている。

 2021年中に警察が取り扱った死体17万3220 体のうち、薬毒物検査が行われたのは16万2959体(94.1%)だった。また、死亡時画像診断が行われたものは1万6534 体(9.5%)、海上保安庁が取り扱った死体276体のうち、死亡時画像診断が行われたのは74体(26.8%)だった。

 死因究明の目的のひとつに、身元不明の死体の身元を確認するという目的もある。警察では「身元不明死体情報」と「行方不明者情報」を対照するに当たって、DNA型記録の照会及び歯科所見情報を含む身体特徴等の照会により身元確認に活用する。

 ただ、2021年中の身元不明死体の身元確認件数は191件にとどまっている。2021年末現在、DNA型データベースに登録している身元不明死体のDNA型記録は7084件、特異行方不明者等のDNA型記録は7619件ある。2021年にこのDNA型データベースに登録された身元不明死体のDNA型記録が身元確認の端緒となった件数は69件だった。

 ところでこのところ、ドラマなどで取り上げられることが多いのが、このところ監察医だ。解剖には様々な分類方法があるが、大別すると、司法解剖、調査解剖、監察医(行政)解剖に分かれる。

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フジテレビのドラマ『監察医朝顔』で主演をつとめた上野樹里(写真/GettyImagesより)

 司法解剖は事件性が疑われる場合に犯罪捜査の一貫として、死因などを究明するために行われる。調査解剖は犯罪捜査が目的ではなく、死因の特定を目的としている。監察医解剖とも言われる行政解剖は公衆衛生を目的として行われるため、犯罪の関与が否定された遺体に対して行われる。

 ただし、監察医解剖も調査解剖も解剖途中で犯罪性や犯罪関与が判明された場合、司法解剖に変更される。

 東京都監察医務院は、東京都23区内の不自然死(死因不明の急性死や事故死等)について、死体の検案を行うとともに必要に応じて解剖を実施し、死因の究明等を行っている。1946年に監察医業務開始以降、2021年までに扱った検案件数は60万4387件で、このうち解剖件数は15万9990件にのぼる。

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