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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > フジの“奇祭”『ラフ&ミュージック』

松本人志も熱湯風呂へ フジテレビの“奇祭”『ラフ&ミュージック』秩序のあとの混沌

寺門ジモン「なに普通に見てんだよお前ら! 59歳が入ってるんだよ、59歳が! お前らもがんばれよ!

 同じく10日の『ラフ&ミュージック』のエンディングで、8日に59歳の誕生日を迎えた松本人志が祝われていた。登場したのは同じく59歳の肥後克広と寺門ジモン(ダチョウ倶楽部)。彼らは誕生日プレゼントとして、松本に熱湯風呂をさせるのだという。

 松本ははじめての熱湯風呂らしい。そんな初体験は、岡村隆史(ナインティナイン)と対決形式で行われた。用意されたのは、熱湯の入った浴槽の上に鉄棒が設置されたセット。鉄棒にぶら下がって、はやく落ちたほうが熱湯に入ってしまう形だ。

 で、今回の企画の注目点は熱湯風呂が初体験の松本なのだろうけれど、ここでは少し、ダチョウ倶楽部の一連の動きをあらためて丁寧に見てみたい。

 ダチョウ倶楽部はいつもの流れを踏襲する。まず、ジモンが「温度を見なきゃ」と言いはじめる。それを受けて肥後が浴槽に手を突っ込み、「熱い!」と大声を出して熱湯を周りに撒き散らす。避ける周囲の面々。特にジモンが足をバタバタさせて大きなリアクションをとる。「こっちも……」と言ってジモンも浴槽に手を入れて湯を撒き散らす。やはり大きめにリアクションをとる肥後。

 さて、この後に松本と岡村が鉄棒にぶら下がって対決をはじめるわけだが、熱湯風呂に入るまでのダチョウ倶楽部のこの一連の流れ、あらためて伝統行事のようである。クライマックスがくる前の下準備としての熱湯撒き散らし。大相撲で力士が土俵に上る前に、「呼び出し」と呼ばれる人たちが力士の名前を呼び上げたり、土俵をホウキで掃き清めたりして競技の進行役をつとめるのにも似ている。

 その後の流れもいつものとおりである。岡村や松本が熱湯に落ちると、その飛沫をあびて大きくリアクションをとる肥後とジモン。松本が湯船から出てきて横たわると、ジモンが駆け寄って松本の胸を押し、口に含んだお湯を「ビーン、ビーン」と吹かせる。立ち上がった松本に「最後ひと言」とうながし、そのひと言を待ったあとに「何言ってんだ」と頭を叩く。

 と、ここまではある意味で偉大なる“予定調和”なわけだけれど、そんな調和が崩される。カオスの門を開けたのはやはりこの男、ジモンである。

「なに普通に見てんだよお前ら! 59歳が入ってるんだよ、59歳が! お前らもがんばれよ!」

 そう言って周囲の後輩芸人たちを見回すジモン。その言葉を受けて肥後が走る。ターゲットとなったのはミキの昴生だ。彼はひとりで浴槽のフチに立ち、ひとりで熱湯のなかに落ちたのだった。スーツのままで。さらに、大悟(千鳥)がその場にいたBiSHのセントチヒロ・チッチを熱湯風呂に落として状況はさらにごちゃごちゃになった(なお、大悟がチッチに声をかけて本人の同意を得ているような場面は、カメラにちょっと映っていたりもする)。

 いつもの流れが踏襲されつつ、最後にはごちゃごちゃになる。秩序のあとの混沌。やはりそれは伝統行事、特に地方の“奇祭”を思わせる。今回の場合、それはお笑いが中心だったころの『27時間テレビ』を彷彿とさせるような、“フジテレビ的おもしろ”を2022年に召喚する行事だったかもしれない。

 ここでさらに妄想してみよう。季節の節目、たとえば春とか秋とかの田植え・稲刈りの時期=番組改編期に、フジテレビの番組に突然出てきて熱湯風呂とか熱々おでんとかを出演者にやらせるダチョウ倶楽部を。いや、少なくともフジテレビの正月番組とかではありそうな気がする。

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

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いんようてれび

最終更新:2023/02/27 18:58
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