見取り図×ニューヨークの“いつメン”感が示す「横のつながり」と芸人の売れ方
#お笑い #タカ&ユージ
芸人ワチャワチャを楽しむ文化は心斎橋筋2丁目劇場から始まった?
タカ そういう、芸人同士の横のつながりの始まりってどこなんだろう? と考えたときに、心斎橋筋2丁目劇場でやっていた「WA CHA CHA LIVE」」や『すんげー!Best10』(1995~1997年/ABCテレビ)なのかなと思ったんですよ。千原ジュニアとかFUJIWARA藤本とかが団体芸をしたり、吉本新喜劇的な王道のボケを踏襲したりしてて。そういう横のつながりを消費するのって、あの頃の2丁目劇場から始まってるのかもしれません。
ユージ おぉ、なるほど。私は『すんげー!Best10』は放送地域外だったんで観てないんですけど、ちょうど最近『マルコポロリ!』(カンテレ)で2丁目劇場SP回やってましたね(9月4日放送)。おじさんたちの年季の入ったワチャワチャで楽しかった(笑)。当時のファンから「陣内とケンコバが東京で共演してるといまだにテンション上がる」と聞いたことがありましたが、その気持ちがなんとなくわかりました。
タカ そうそう、それからちょっと後にはなるけど、陣内とケンコバが一緒に旅行行ったりしてて、本当に仲良かったんですよ。そういうところから芸人の横のつながりの重要性が高まっていったんだろうと、振り返ってみて思いました。
ユージ メンツからいっても、そのまま『アメトーーク』や『ロンドンハーツ』につながってますもんね。
タカ 団体芸にはいいところも悪いところもあって、「仲が悪いことがカッコいい」みたいなイキりがはないのはいい側面なのかもしれません。
ユージ 決して悪くはないんですよね。でもそこに入っていけない人にとってはすごく不利な構造になっている。
タカ 東京でいうと、ホリケンの団体芸もつらい人にはつらいでしょうね。
ユージ あれは本当に、入れない人は入れなさそう……。しかもつながりとか関係なく巻き込まれますしね。あとは東京の団体芸というと太田プロもあります。この15年くらい、有吉を中心に太田プロの集団性を打ち出す場面がより色濃くなっていってる。ラジオ『SUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN)なんか特に顕著ですよね。有吉がパーソナリティで、デンジャラスやアルコ&ピース、その他若手たちが代わる代わるアシスタントを務めるという形で、そこでノリが生まれていく。
タカ そうですね、太田プロも縦と横のつながりを意識的に見せてる感じはある。ただ、上島竜兵さんが亡くなったこともあって、今後は徐々に薄くなっていきそうな気もしますね。宮下草薙のような、団体のお約束に乗っからないタイプも出てきていますし。
ユージ そう考えると、アルピーがちょうど分水嶺なのかもしれません。後輩引き連れて飲み会する酒井軍団と、草薙とタイムマシーン3号・山本を連れてただただショッピングする“平子お買い物クラブ”が好対照で。
タカ なんですか、その団体。
ユージ 季節の変わり目に洋服を見に行って、「似合ってるよ」などと褒め合う集団です(笑)。
タカ そんなのがあるんだ、なんか良いですね(笑)。草薙やモンスターエンジン西森のように、横のつながりを持っていない――西森は、あの場がそうだっただけで持ってないわけじゃないでしょうけど――芸人もいると可視化されてきたのはいいことなんじゃないかなと思います。これまではいじる/いじられるという形でしかコミュニケーションが築けなかったから、横のつながりが薄くていじりしろがないタイプの人は苦戦せざるを得なかったけど、だんだんとそうではなくなってきた。いっそ『アメトーーク』で「横のつながりない芸人」やってほしいですね。
ユージ それはだいぶ観たい!
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