『キングオブコント』決勝進出者に見る“時代の終焉”と“売れっ子の苦難”
#キングオブコント
10月8日にTBS系で生放送される『キングオブコント2022』の決勝戦に進出する芸人が発表された。
コント日本一の称号をかけて争うのは、いぬ、かが屋、クロコップ、コットン、最高の人間、ニッポンの社長、ネルソンズ、ビスケットブラザーズ、や団、ロングコートダディの10組。
このうち、いぬ、クロコップ、コットン、最高の人間、や団の5組は決勝初進出となった。
優勝候補の一角と目されていたザ・マミィ、蛙亭はまさかの準決勝敗退。前回準優勝の男性ブランコは準々決勝敗退となり、“番狂わせ”が続出した今回のキングオブコントの予選。その背景にはどんな事情があったのだろうか。ある構成作家はこう話す。
「ザ・マミィ、蛙亭、男性ブランコについては、昨年のキングオブコントでいい結果を出したおかげで、バラエティ番組への出演が激増しました。テレビでの仕事が多かったせいで、劇場でネタを仕上げる時間が足りなかったと言えるでしょうね。これは同じくバラエティで活躍しているジャングルポケットも同様だと思います」
コントの場合、芸人のキャラクターが世間に知れ渡っていないほうが、ネタ評価で有利になるケースも少なくない。
「漫才だったら、芸人のキャラクターが浸透することで、ネタが伝わりやすくなることも多いのですが、コントでは基本的に“役”に入るので、普段のキャラクターが邪魔になることもあるんですよ。蛙亭やザ・マミィは、バラエティでのイメージが逆効果になった可能性は否めない。昨年の決勝戦でのインパクトもあり、それを超えなければならない状況もネガティブに働いてしまったのでしょう。売れっ子になったことが裏目に出た不運なケースだと思います」(同)
そんななか、バラエティで活躍する岡野陽一と吉住による「最高の人間」が決勝に進出した。即席ユニットがキングオブコントで決勝戦に進むのはこれが初めてとなる。
「吉住は『THE W』(日本テレビ系)の優勝者で、岡野も『巨匠』というコンビ時代にキングオブコント決勝戦へ進出している実力者。2人とも“天才コント師”と呼ばれるくらいに高く評価されていますから、決勝進出は順当でしょう。双方ともバラエティでキャラが浸透していますが、コンビのネタはほとんどの人は初見になるわけで、インパクトも十分。今年の優勝候補筆頭と言っても過言ではないでしょうね」(同)
昨今はネタの中で伏線回収を盛り込むなど、練り込まれた脚本のコントが増えているが、今回の決勝進出メンバーは、比較的わかりやすいネタが多い。
「ネルソンズ、ビスケットブラザーズ、コットンなどは、キャラクターを重視しつつ、誰が見ても笑えるネタが持ち味。ニッポンの社長、ロングコートダディは、変化球ではあるものの、入り組んだ脚本というよりは“センス”に振り切ったネタです。いずれも、脚本で唸らせるタイプではない。若手芸人はどうしても練り込まれた脚本のネタをやりたがるものですが、一方で“伏線回収”などのシステムは完全にバレていて、逆に陳腐になっている現実もあるんですよ。“うまい脚本”だけでは勝ち上がれなくなっているということですね」(同)
昨年は空気階段が歴代最高得点で優勝するなど、かなりレベルの高い大会となった。今年はどうだろうか。
「決勝進出経験者5組、初進出5組で、安定した実力者のネタと初見のインパクトが、ちょうどいいバランスで楽しめそうですね。この10組の準決勝の出来は本当に素晴らしく、このラインナップに対してお笑いファンからの異論も少ない。相当期待できる決勝戦になるはずです」(同)
果たして、コント日本一に輝くのは誰なのか。新王者は約1カ月後――10月8日に誕生する。
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