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生活保護受給が増加傾向… 2万件超の申請で目立つ“一般家庭”の項目

高齢者でも、障害者でも、母子家庭でもない、普通の家庭の受給数が増加

 日本の高齢者問題の根幹は、年金問題を踏まえ、“高齢者の貧困”にあると言っても過言ではない。高齢者世帯の生活保護受給数は、増加し続けている。(表3)

[入稿済み]生活保護受給が増加傾向… 2万件超の申請で目立つ一般家庭の項目の画像4

 生活保護受給者数と受給家庭数の推移を見ると、受給者は減少を続けている半面、家庭数は増加が続いている。この背景には、高齢者問題が隠れている。人数が減少しているにもかかわらず、家庭数が増加しているのは単身者世帯、特に“独居老人”が増加しているためだ。

 高齢者世帯の生活保護受給は恒常的に増加しているが、新型コロナの感染拡大前後で増加傾向に大きな変化はない。変化が見えるのは「その他世帯」、簡単に言えば、高齢者でも、障害者でも、母子家庭でもない、普通の家庭の受給数が増加している。

 その他家庭の前年同月比は20年6月から増加に転じた。その後、21年は1.5%を上回る増加が続き、22年に入って低下傾向をたどったが、5月から再び、増加に転じている。(表4)

[入稿済み]生活保護受給が増加傾向… 2万件超の申請で目立つ一般家庭の項目の画像5

 このように生活保護数の増加は、恒常的に続く高齢者世帯の増加に加え、その他家庭の増加によるものだ。

 最近では新型コロナに加え、物価高の影響も加わっている。早急に生活苦対策を行わなければ、生活保護世帯は一段と増加する可能性がある。

 

 

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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Twitter:@tohrusuzuki

鷲尾香一の ”WHAT‘S WHAT”

わしおこういち

最終更新:2022/09/13 11:30
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