『るろうに剣心』原作ファンも納得の実写化成功例、唯一の穴「強引な脚本処理シーン」
#しばりやトーマス #金ロー
『伝説の最期編』が若干盛り上がりにかけるワケ
原作の「京都編」は約2年という長期の連載期間だったので、前後編合わせて4時間以上の実写版でもすべてを再現することはできず、一部をカットしたり細部を変更している。
『伝説の最期編』は細部の変更が多く、例えば剣心が師匠の清十郎の元で奥義会得の修行をするところ、原作では周囲の人間に清十郎の元へ行くことを告げているのだが、実写版では偶然海岸で拾われるため剣心が清十郎の元にいるのを仲間は知らないはずなのに、奥義を会得した後で登場人物のひとりが駆けつけてくるのだ。脚本上かなり強引な処理で「そうなっている」ので違和感が生じている。
伊勢谷演じる蒼紫は、原作では丁寧に剣心との因縁が描かれているので対決も必然になるが、実写版では『京都大火編』からの登場となり、しかも関係がざっくり描かれているのみ。アクションが目を見張る出来なので盛り上がるが、因縁の対決になるはずが希薄されたのは否めない。
志々雄の部下には「十本刀」と呼ばれる十人の精鋭がいるが、実写版では尺の関係からか、人物の見せ場などがきちんと描かれているのはそのうちのたった三人だけ!『京都大火編』で志々雄が「十本刀を招集しろ」と命じるシーンまであるのに7人がざっくりと処理されている。映画だけ見ている人には「あと7人はどこいったの?」と疑問が浮かぶのでは。だったらそんなセリフ入れなきゃよかったのに……。
この実写前後編は「原作部分の再現」についてはどれもこれも最高なのだが、細部を変更した部分についてはこの通りなんとも……微妙なのだ。
『京都大火編』は50億を超える興収だったが、後編の『伝説の最期編』は約44億円と窄んでるのもこの微妙さが影響したのかも?
……とまあ注文の多い原作ファンにとって色々突っ込みたくなるのだが、この2部作が邦画アクション映画のクオリティを数段上げ、漫画実写化の新たな可能性を見出したのは間違いない。10月にはシリーズ完結編の最終章も放送されるので今のうちに要チェックですよ!
今週の金ロー『ザ・ファブル』岡田准一がにじませる“大阪のおっちゃん”
今週の金曜ロードショーはマンガ原作映画特集の第二弾『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』が放送。 あまりの強さ故に数々の伝説を持ち、裏社会から寓話を意味する「ファブル」(...サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事