『るろうに剣心』原作ファンも納得の実写化成功例、唯一の穴「強引な脚本処理シーン」
#しばりやトーマス #金ロー
今日の金曜ロードショーは2週連続『るろうに剣心』の後編、『るろうに剣心 伝説の最期編』を放送します。
前回のラスト、甲鉄船「煉獄」から突き落とされた薫(武井咲)を救うために荒れる海に飛び込んだ剣心(佐藤健)はそのまま波にさらわれ海岸に打ち捨てられたところを謎の男(福山雅治)に助けられる。この男こそ幼少の剣心に剣術と名前を授けた師匠の比古清十郎だった……。
90年代中~後期の「週刊少年ジャンプ」(集英社)を支えた人気漫画の実写化で、原作中屈指の人気エピソード「京都編」をテーマにした本作はこの『伝説の最期編』で完結する。前回も解説したとおり『京都大火編』はスケール、アクション、役者のなりきりぶりといずれをとってもクオリティが高く、原作の良さを十二分生かした紛れもない傑作だ。観客も前回の出来を見て、さらに後編へのつなぎも見事でいやが上にも盛り上がろうというもの。
清十郎とはかつて意見の相違から袂を分かつことになった剣心だが、強敵の志々雄真実(藤原竜也)一派に再度立ち向かうべく、教わるはずだった剣術、飛天御剣流の奥義を伝授させてほしいと願い出るが、自らの命と引き換えにでも奥義を得ようとする剣心を愚か者となじり、あしらい続ける。
その頃志々雄は前作で暗殺された大久保利通の代わりに内務卿となった、伊藤博文(小澤征悦)ら明治政府の要人たちと会合を開く。「政治のため」と称し自分たちの立場が悪くなることはすべて闇に葬ろうとするやり口に命まで奪われそうになった過去を持つ志々雄は伊藤らに命が惜しければ剣心を罪人として公開処刑にしろと命じるのだった。
一方、海に投げ出された薫も漁師によって救われており、東京から剣心を追って京都に来ていた仲間の左之助(青木崇高)らと再会を果たす。行方知れずの剣心の身を案じる一行だが剣心の指名手配所が出回るのを目にし、手配書が出るのは生きている証だと確信する。
命と引き換えにすることよりも、生きようとする意志こそが何よりも尊いことを悟った剣心は無事奥義を会得する。そんな剣心を倒し幕末最強の剣士という称号を得ようとする隠密御庭番衆の頭・四乃森蒼紫(伊勢谷友介)も倒し、剣心らは志々雄らと最後の戦いに挑む。
甲鉄船・煉獄は原作ではほんの数回出てくるだけだが、この実写化ではクライマックスの舞台になっている。当時の連載ではあっさり終わらせてしまったのを惜しんだ原作者が打ち合わせの際に「(原作では)クライマックスの舞台にしたかった」といったのをスタッフが採用した結果だ。
このクライマックスの戦闘は20分以上にも及び、前作で刀を折られた瀬田宗次郎(神木隆之介)との闘いを制した剣心は志々雄と対決するが、剣や大気との摩擦で炎を生み出す「無限刃」の前に苦戦を強いられる。左之助や斎藤一(江口洋介)、蒼紫らも参戦するが、四人を同時に相手にしても一歩も引かない実力はまさに「最強の敵」といった扱いで、前作でもすさまじい殺陣を見せつけたアクション監督・谷垣健司は本作でも日本風のチャンバラ、時代劇を凌駕する前代未聞のソードアクションを展開した。
原作者も納得のクライマックスとなった『伝説の最期編』はかつて見たことのない「邦画のアクション映画」として最高だが、「漫画の実写化」としては納得いかない部分もある。
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