『ガキ使』罰ゲームは今なら迷惑系YouTuber? 対決&罰ゲームの構図を作った30年の偉大な歴史
#ダウンタウン #深田憲作 #企画倉庫 #アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~
放送作家の深田憲作です。
「企画倉庫」というサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこの連載をやらせてもらっています。
今回のテーマは「『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の対決&罰ゲームの歴史について」です。
https://cu.ntv.co.jp/gaki_20220904
『ガキの使い』では、これまで様々な対決と罰ゲームの企画が行われてきましたが、先日の放送でその歴史を振り返っていました。情報性なしでお笑いだけを突き詰めた番組を30年以上続けている偉大さは、テレビマンならずとも感じるところだと思いますが、対決&罰ゲームという要素だけを切り取って見ても、改めてその偉大さを感じました。
今では当たり前となっている、何かしらの対決を行って敗者が罰を受けるというシステムは、おそらく『ガキの使い』が定番化させたものではないでしょうか。まずはこのシステムを生み出したことが大発明と言えるでしょう。本来は、対決をして「こっちの勝ち!」「ワー!」で終わっていたところが、その後に敗者が罰を受けるところまでセットになることで、1つの企画で2度美味しい構造になっています。
これは真偽不明なのですが「罰ゲーム」というワードも松本人志さんが考えたと聞いたことがあります。よく考えると「罰」と「ゲーム」という相反する言葉をくっつけた不思議な言葉です。「ゲーム」という言葉がつくことで、少し柔らかいニュアンスになり、罰を受ける人の痛々しさが緩和されているような気がします。こういった言葉のニュアンスで、やっていることは同じでも、視聴者の受け取る面白さは大きく変わると思います。「罰ゲーム」という言葉も見事な発明だと思います。
『ガキの使い』の対決と罰ゲームの歴史を見ていると、そのノリややっていることは、YouTuberの源流ではないかと思えてきました。500対500でドッジボールをしたり、冬の海にふんどしで入ったり、スカイダイビングをして着地するまでに坊主にしたり……。どれもエンタメ系YouTuberがやってそうですよね。
番組で初めて行った罰ゲームが、松本人志さんが『ズームイン!!朝!』の生中継で一般人に混じって福留アナウンサーの背後に映りこむというものだったのですが、そのノリは迷惑系YouTuberに近いものを感じました(笑)。
役に立つ情報は一切なく、くだらなくて、ただ面白い。いつの時代も若者がエンタメに求めるものだと思います。実際、今の10代~20代の若者が、昔の『ガキの使い』の動画をYouTubeで楽しく見ているそうです。先日の『人志松本のツマミになる話』(フジテレビ)で、あのちゃんという若い女性タレントが『ダウンタウンのごっつええ感じ』(同)にハマっていると発言していましたが、ダウンタウンさんが20年~30年前にやっていたお笑いが、今の若者にも刺さっている事実は驚異的だと思います。
2000年から2020年ごろまでのテレビ界は、視聴率の計測法や人口比率の関係で、情報性のある番組が主流となっていた20年でした(やや高齢者向けに番組を作った方が視聴率を獲りやすかったという意味です)。
特にゴールデンタイムでは、情報性がないお笑い番組で視聴率を獲るのは至難の業でした。そんな20年の間も変わらず、お笑いを突き詰めてきた『ガキの使い』のアーカイブ映像集は、遺産と呼ぶべきと思えるほどの貴重さを感じました。それでは今日はこの辺で。
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