松居大悟、白石晃士、金子修介監督が新感覚ポルノに挑む「ロマンポルノ・ナウ」
#映画 #インタビュー
SM世界をドキュメンタリータッチで描く白石晃士監督
新作3本の中で、最高にぶっ飛んでいるのは、白石晃士監督作『愛してる!』で間違いないだろう。『オカルト』(09)や『貞子vs伽椰子』(16)などのホラー映画で熱烈なファンを持つ白石晃士監督が、SMの世界をフェイクドキュメンタリーとして撮り上げた異色作となっている。
本作を手掛けたのは、白石監督が韓国でオールロケした意欲作『ある優しき殺人者の記録』(14)でもタッグを組んだ紀嘉久プロデューサー。元女子プロレスラーという異色の肩書きを持つ地下アイドルのミサ(川瀬知佐子)が、SMラウンジのオーナーにスカウトされ、SMデビューを果たす物語だ。人気の女王さま・カノン役の鳥之海凪紗が、妖しい雰囲気を醸し出している。俳優の髙嶋政宏が企画監修だけでなく、本人役で出演しているのも話題だ。
紀プロデューサー「ロマンポルノにはSMというジャンルがあるので、ホラー映画で人気の白石監督が、SMという日常とは異なる異世界を、得意のフェイクドキュメンタリーで撮ると面白い作品になるんじゃないかと企画しました。今の時代に撮るロマンポルノは、まずストーリーが面白くあるべきだと考え、ミサとカノンがどんな関係になっていくのか、プロット構成には時間をかけ、試行錯誤を重ねました。『変態紳士』(ぶんか社)を執筆され、SM好きを公言されている髙嶋政宏さんには、緊縛師の蒼月流氏を紹介してもらうなど、いろんな面で協力してもらっています」
女王さま・カノンの奴隷として、ミサはSMマニアたちと刺激的な日々を過ごす。新しい世界を知ったミサは、自己を解放することで内面的にも外面的にも変化を遂げていく。生まれ変わったミサがステージに立つクライマックスは、観客たちがスマホで撮った動画も交えた非常に斬新なシーンとなっている。
紀「ラストのライブの撮影はロケ場所の時間的制約もあって大変でしたが、何とか撮り切ることができました。白石監督は自主映画時代の『暴力人間』(97)を超える映画をまだ撮ることができていないと感じているそうですが、『愛してる!』は白石監督の新しい代表作と呼べる作品になったと私は思っています。SMがテーマなので痛い描写はありますが、白石作品では珍しく誰も死にません(笑)。とてもエモーショナルなドラマに仕上がっており、白石監督の作風を広げることにもなったと思います」
紀プロデューサーのお気に入りのロマンポルノは、神代辰巳監督の『嗚呼!おんなたち 猥歌』(81)。内田裕也が主演したパンクロックムービーとして知られている。(2/3 P3はこちら)
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