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『ちむどんどん』作者が語れば語るほど批判増えるも…ドラマは「最後の最後まで波乱」

『ちむどんどん』作者が語れば語るほど批判増えるも…ドラマは「最後の最後まで波乱」の画像
『ちむどんどん』公式サイトより

 2018年度上半期の『半分、青い。』以上に内容への批判が相次いでいる。現在放送中のNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』のことだ。

 Twitterでは「#ちむどんどん反省会」のハッシュタグで日々、ストーリー展開や設定などに対する疑問、ツッコミの声が上がっているが、著名人が言及することも少なくない。

 元農林水産副大臣の礒崎陽輔氏は8月14日、「俳優の皆さんは立派に演じられていますが、脚本の論理性が崩壊しています。私自身沖縄振興の関係者として残念であり、既に手後れかもしれませんがNHKは猛省する必要があります」などと辛辣な言葉をツイート。翌日には、ツイートへの反響の大きさに触れつつ、「多くの人の不満がたまっていると考え指摘しました」と綴った。さらに、9月3日にも「脚本の論理性の問題はもとよりですが、今週も妹の恋人を『お古』と呼んだり、病院の見舞客が数珠を持参するなどNHKの朝ドラとしては許容をの限度を超えた表現がありました(原文ママ)」「しかるべき人が制作現場に適切な助言をしたほうが良いのではないでしょうか」と批判している。

 また、毎期10作以上をチェックしているドラマウォッチャーぶりでも知られる声優の緒方恵美は8月5日、「良い要素はたくさんあるから… 頑張ってほしくて…」「…だけど。だんだん、…流石に、ちょっと。残念だけど…戦線離脱。 朝ドラではめずらしいなあ…」とギブアップ宣言し、「日本で一番逃げない人が逃げた」と話題になった。

 なぜ、こうなってしまったのか。

「ストーリーがたびたび●年後と一気に飛ぶ一方で、話の過程は描かれず、登場人物の成長も感じられない点であったり、毎週のタイトルに料理名が出るように食と料理がひとつの軸のはずが、銀座のイタリア料理店で料理をひっくり返して駄目にしてしまう場面がちらほらあるなど、敬意を持って丁寧に描こうとしていない点であったり……。最大の問題は、主人公・暢子(黒島結菜)のキャラクター造形でしょうね。目上の人に対する態度がなっていない、人の話を聞かない、怒られても反省の色が見えない、相手が折れるまで自分の意志を押し通すが自分は折れない、といった性格・行動で、『ここまで好きになれない朝ドラヒロインは初めて』という声も多い」(ドラマ・映画ライター)

 特に決定的とされるのが“略奪愛”劇だ。

「途中まではまったく恋愛に関心がなかった暢子が、第12週で急に幼なじみの和彦(宮沢氷魚)への気持ちを自覚するのですが、和彦には婚約者の愛(飯豊まりえ)がおり、暢子は愛とも友人なのに、和彦に想いがあることを堂々と愛に宣言。和彦も和彦で、暢子をデートに誘ったりし、こうした状況を察して愛は最終的に自ら身を引き、パリに旅立ってしまう。視聴者は完全に愛に同情し、暢子・和彦はすっかり嫌われカップルになってしまいました」(同)

 9月30日の最終回に向けて、ドラマ以上に批判のほうが盛り上がっている『ちむどんどん』だが、そこに燃料を投下してしまっている人物がいる。作者の羽原大介氏だ。

「9月2日付の『琉球新報』に単独インタビュー記事が掲載されたのですが、批判の声がSNSで多いことについてどう受け止めているか?と訊かれると、かつて脚本を担当した映画『パッチギ!』を挙げながら、『(これまでも)難しい題材を扱ったものも関わらせていただいて、さまざまな感想や、反響をいただいた。視聴者がどのような感想を持たれるか、見ていただいた方それぞれの思いはいろいろあると思う』と玉虫色のコメント。続けて、明日も頑張って生きていこう、今日も一日頑張ろうと思ってもらえるようなドラマ作りを一貫して目指しているとして、『そこはぶれずに最後までやれた』という自画自賛で締めくくったが、『質問に答えてない』『ちむどんを朝に見て“今日も一日頑張ろう”とは思えない』『発想が暢子と同じ』などと、火に油を注ぐような形となっていいます」(芸能記者)

 羽原氏は放送開始間もない4月にも、自信たっぷりのコメントをしていた。

「『沖縄タイムス』のインタビューでは、4人きょうだいをメインにしたことについて『若草物語』を参考にしたことを明かしつつ、『(主人公の暢子は)大人になり、人間関係にもまれて、いろいろなことを経験して成長していく。(大人だけでなく)中高生にとっても、絶対面白いドラマ』と断言。しかしその後の展開では、自分が働く店のオーナーに『自分で料理しないのに偉そう』と言い放ったりする主人公の態度、トラブルメーカーすぎる長男など、主人公一家の“問題行動”が次々に登場し、親世代からは『子どもには見せたくない』『子どもと一緒に見るとフォローが必要』などと言われてしまいました」(同)

 中でも視聴者の反感を買ったのは、8月に公開された「スポニチ」のインタビューでの発言だろうか。羽原氏は「女性の深い心情が込められたシーンを書く時には、脚本の打ち合わせに女性スタッフに入ってもらい、展開やセリフ、表情などに違和感がないか、細かく検証しました」と語っていた。

「略奪愛問題もさることながら、和彦の母親が暢子と和彦の結婚に反対していることについて『母親のいちばんの不幸は、息子と結婚できないことっていうからな』というセリフがあったり、暢子にフラれた智(前田公輝)が暢子の妹・歌子(上白石萌歌)に惹かれていることについて、酔客のデリカシーのない発言という扱いだったとはいえ、『(智は)姉のお古。お下がりの智』というセリフが登場し、『朝から不快すぎる』『発想が気持ち悪い』などと批判が殺到。そもそも、展開的にわざわざその表現をする必然性が感じられないこともあり、『女性スタッフは本当のところどう思ってるんだろ』『本当に女性スタッフに意見聞いてる?』といった疑問の声も上がってます」(同)

 宮沢氷魚演じる和彦は、婚約を破棄して暢子と結ばれる展開の中でSNSでは一時「クズ彦」とも一時呼ばれていたが、当の宮沢も、「和彦の心の変化の演じ方はとても難しく、演じようによっては和彦が自己中心的でひどい人物に見えてしまう」と「ステラnet」のインタビューで“弁解”するなど、俳優たちも脚本の解釈に苦労している様子がうかがえる。

 羽原氏によれば、「最後の最後まで波乱、事件が待ち受けています」(「スポニチ」での発言)とのこと。最終回までこの『ちむどんどん』狂騒曲は続くことになりそうだ。

宇原翼(ライター)

雑誌、ウェブメディアの編集を経て、現在はエンタメ系ライター。

うはらつばさ

最終更新:2022/09/12 04:25
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