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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > “関根的コンプラアインス”の減点と加点

麒麟川島は2位――関根勤的コンプラアインス、減点と加点の狭間で

アンガールズ・田中「(関根さんが笑ってくれてネタが)ウケるようになりました」

 関根といえば、破顔である。大きく口を開け、顔をくちゃくちゃにして笑う。つまらなく見えるものも「くだらねぇ~」と言いながら笑う。そんな姿を関根はテレビでよく見せる。

 そんなふるまいは、今回の「2代目関根勤選手権」の審査にも通底していたのかもしれない。8点をベースにたまに9点をつけ、関根的コンプライアンスに引っかかると0~1点。その間の点数はあまり出ない。「面白い」「とても面白い」と「ダメ」の3段階ぐらいで採点をしていた感じだろうか。

 つまり「面白くない」という評価がなかった。もちろんそれは、出場芸人のパフォーマンスが高水準だったからなのだろう。が、「ダメ」と評価されたのもあくまで関根的コンプライアンスに引っかかったからであって、関根は0点の札を出しながら例の笑顔を見せていたりするわけである。

 そして、そんな関根の破顔は、今回の“審査員”のような形でなくても、これまでも多くの芸人たちを実質的にジャッジし、人気者に押し上げてきた。たとえば、アンガールズの田中卓志がかつて語ったところによると、彼らのジャンガジャンガのネタがウケるようになったのも、関根の笑顔がひとつのきっかけだったようだ。

「(ジャンガジャンガのネタを)スタジオで(ネプチューンの)名倉さんとか関根さんとかが見て笑ってくれてるんですよ。笑っていいんだっていう指針になって、ウケるようになりました」(『本能Z』CBCテレビ、2017年4月1日)

 関根の笑顔は「いま画面に映っているものは面白いものである」と評価し、その評価を繰り返すことで視聴者に浸透させてきたのだ。

 そんな力をもつ破顔といえば、いまでは誰よりも有吉弘行のそれだろうか。もちろん有吉の場合、芸人の言動を見て「つまらない」と一刀両断することも多いが、なんだかんだでその後に大きな笑顔を見せる。本人がそういう笑顔を見せるとともに、番組側が有吉の笑顔を随所にインサートしたりもする。そうやって「いま画面に映っているものは面白いものである」と状況を定義し共有する。笑顔が次々と連投され、番組の進行とともに「画面に面白いものが映り続けた」という事実が積み上げられていく。

 たとえば、3日の『有吉の夏休み2022』(フジテレビ系)でのシーン。北海道を訪れた有吉らは、グラウンドゴルフ対決をすることに。通常の打数に加え、ラウンド中に小ボケがウケたらマイナス1打にする、との特殊ルールで芸人たちがボケまくる流れになったのだけれど、フワちゃんの小ボケが一向にウケなかった。そんなフワちゃんに吉村崇(平成ノブシコブシ)が詰め寄り――といったシーンが流れると、その後の画面には有吉の笑顔が挿入された。

 あらゆるテレビタレントの笑顔がそういう機能をもつのかもしれないが、特に関根と有吉の笑顔はメッセージの文末につける顔文字のような働きが多いような気がする。そういえば、関根の「あの芸」はかつての有吉のあだ名芸に近いのかもしれない。いや、あだ名芸は一般人というより芸能人をターゲットにしたものだし、何より関根的コンプライアンスをクリアできないかもしれないが。

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

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いんようてれび

最終更新:2023/02/27 18:59
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