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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > “関根的コンプラアインス”の減点と加点

麒麟川島は2位――関根勤的コンプラアインス、減点と加点の狭間で

麒麟川島は2位――関根勤的コンプラアインス、減点と加点の狭間での画像1
『水曜日のダウンタウン』(TBS系)公式Twitter(@wed_downtown)より

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(8月26~9月3日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

関根勤「木村多江さんの魅力~(笑)」

 テレビのバラエティ番組では毎日のように何かしらの“選手権”が開催されていて、たとえば、31日の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)では「2代目関根勤選手権」が開かれていた。今年3月に放送された「素人を紹介する際にピッタリの一言を添える関根勤のあの芸、後継者いない説」の第2弾である。

 もともとの説のタイトルにあるように、これは次々と登場する一般人にキャッチフレーズのようなものをつけていく関根の「あの芸」の後継者を決める大会である。『笑っていいとも!』(フジテレビ系)のそっくりさんコーナーで関根がいつもやっていたやつ。知っている人は多いけど、他に誰もやってないのでどう呼んでいいかわからないやつ。そんな芸能史のなかでの特異性が「あの芸」という言い方に集約されている。

 そんな「あの芸」の後継者を決めるべく、今回招集されたのは大喜利に強いとされる芸人たちである。粗品(霜降り明星)、川島明(麒麟)、西田幸治(笑い飯)、くっきー!(野性爆弾)、飯尾和樹(ずん)、そして板尾創路(130R)。審査員をつとめるのは関根本人だ。なお、ずん・飯尾は前回王者である。彼がディフェンディングチャンピオンとして他の芸人を迎え撃つ大会は、後にも先にもないかもしれない。

 トップバッターは粗品。長髪で太めの男性に「バイクで来てくれるUber配達員」とひと言添えて、関根から10点満点中で8点の高評価を得た。その後も高い得点を重ねていく粗品だったが、若めの男性につけた「木本さん、お金返してください」とのフレーズに対する関根の評価は0点となった。

 なるほど、相手は一般人。もともと『いいとも』で「あの芸」の対象になっていたのは、一生に一度しかテレビに出ないかもしれない人である。言われたほうが嫌な気持ちになるような言葉は減点であり、もちろん「木本さん、お金返してください」は嫌な気持ちになるのだ。この大会では面白さに加え、関根的コンプライアンスをクリアできているかも評価対象である。

 なお、粗品の「バイクで来てくれるUber配達員」とのひと言に対し、関根は「自転車だとキツいじゃないですか、この体型の人って」と解説していた。このように、関根にもある種の“いじわる”な視点がある。それをいかに直接的でない言葉に言い換えながら面白くしていくか、その飛距離と跳躍の美しさがここでは競われているわけである。

 さて、粗品に続く芸人たちも基本的に高得点が続く。が、「軽トラは新品ではなく中古でしか買いません」(西田)、「2025年には祖国が海に沈みます」(板尾)といったフレーズが関根的コンプライアンスに引っかかり、点数はそこまで伸びず。そんななか、減点がなく確実に点数を積み上げた飯尾が1位、川島が2位となった。関根による川島への「俺よりうまい」との評価は、ラビットからラヴィットへのバトンの受け渡しのようでもあった。

 では、飯尾が川島を上回ったのはなぜか。決め手となったのは、小学生ぐらいの男の子に対して飯尾が添えたひと言「早くも木村多江さんの魅力に気づいています」だった。これに関根がつけたのは、今大会で唯一の10点。彼は「木村多江さんの魅力~(笑)」と天を仰ぎながら笑い、そのフレーズを噛みしめるのだった。

 関根が木村多江のことが好きなのはよく知られているところだ。さまざまな場面で名前を出し、かつては牧野ステテコを見て「よーく見るとね、奥のほうにね、木村多江さんがいるの。奥のほうにだよ」とコメントしたほどである(『R-1ぐらんぷり2018開催決定SP』2017年12月23日)。

 今回の飯尾の連覇は、関根的コンプライアンスをクリアしただけでなく、木村多江加点を見逃さなかったのも大きいだろう。第3回の大会では、減点ではなく加点への意識が大切になるかもしれない。優香、井川遥あたりにも加点があると思う。

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