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新型コロナのもっとも効果的な隔離期間は?名古屋大と米インディアナ大Gが新結果

新型コロナのもっとも効果的な隔離期間は?名古屋大と米インディアナ大Gが新結果の画像1
写真/Getty Imagesより

 名古屋大学と米国インディアナ大学の共同研究グループが8月24日、新型コロナウイルスの感染者の隔離は、4日間隔で抗原検査を実施し、2回連続で陰性となれば終了するのが感染拡大を防止しながら、感染者の負担が最も少なくなるという結果を、新たに開発したシミュレーションを行うソフトウエアにより導き出した。

 https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2022/08/post-309.htm

 今や日本は1週間の感染者数が世界一となった。感染拡大を止めるためには、感染者の隔離が重要な措置となる。だが、どの程度の隔離期間が適切なのかは、未だに判然としない。

 人によっては隔離終了以前に感染力を失っている場合や、隔離終了後も感染力を持っている場合もある。感染力の喪失を抗原検査で確認できれば、感染者各々に応じて隔離期間を設定し、感染リスクを抑えながら社会復帰をすることが可能になる。

 しかし、抗原検査で感染しているのに検査が陰性になる偽陰性割合を考慮すると、複数回の陰性確認が必要となる。

 このように、感染力のある感染者の隔離を早く終了してしまうリスクと、すでに感染力を失っている感染者を不要に隔離してしまう期間を判断するのは、非常に難しい。

 そこで、研究グループはコンピュータシミュレーションにより、検査間隔と陰性確認回数を様々な条件で抗原検査を実施した場合に、隔離終了時点で感染力を保持している感染者の確率と感染力を失ってからも引き続き隔離される期間を計算した。

 その結果、隔離の終了条件をうまく設計することで、リスクを抑えつつ隔離される期間を軽減できることが明らかになった。

 具体的には、新型コロナの従来株では2日間連続の抗原検査の陰性結果で隔離を終了する場合、感染力のある有症状患者の隔離を早く終了してしまうリスクは平均2.6%程度だった。一方、感染力を失った患者を不要に隔離してしまう期間は平均して3.9日程度となった。

 このことから、2次感染を抑えるために隔離に関わるリスクを1%にとどめたい場合は、4日間隔で抗原検査を実施し、2回連続で陰性で隔離を終了した場合の隔離に関わる負担が平均して5.0日間となり、もっとも少なくなると計算された。同様のシミュレーションはオミクロン株でも可能だ。

 このシミュレータを用いることにより、「感染力のある患者の隔離を早く終了してしまうリスク」と「感染力を失った患者を不要に隔離してしまう期間」を同時に抑えるための個人差を考慮した適切な隔離戦略を、抗原検査を用いて実施する方法を提案できるようになった。

 研究グループは、感染予防対策を徹底しつつ社会活動を再開・維持するウィズコロナの時代を迎えるにあたり、抗原検査をうまく利用することで教育活動や社会活動を安全に実施することができ、「決められた回数の抗原検査の陰性結果をもって、早期に新型コロナ感染者の隔離を終了できる、柔軟で安全な隔離戦略が提案できるようになる」としている。

 さらに、「現在、臨床・疫学データや経験則に基づいた異なる隔離基準が国ごとに採用されている状況に対して、この研究は数理モデルに基づいた、日本のみならず世界的に求められている柔軟な隔離ガイドラインの確立に貢献できる」と期待している。

 新型コロナ感染者の適切な隔離期間はどの程度なのか、何回の抗原検査による陰性が必要なのかという問題に対して、今回開発されたシミュレータは感染拡大を防ぎつつ、感染者の負担が少なくて済む隔離期間がわかることから、早期の実用化が望まれる。

 研究成果は8月20日付国際学術雑誌「Nature Communications」に掲載された。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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Twitter:@tohrusuzuki

鷲尾香一の ”WHAT‘S WHAT”

わしおこういち

最終更新:2022/09/09 08:00
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