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マヂラブもランジャタイも“地下芸人”ではない―元芸人が考える本当の地下とは

地下芸人とは芸人ですらない「芸人もどき」

 今テレビに出ている「地下芸人出身」の芸人たちは、その当時、このままで良いのかというモヤモヤする気持ちを持ちつつ、生温い環境に身を置いていたのではないだろうか。

 しかし新たにコンビを組んだり、なんとか事務所に所属したりし、ふとしたきっかけでモヤモヤした気持ちを爆発させ、地下からの脱出に成功した。こういう芸人は向上心があるので決して地下芸人ではない。

 つまり「地下芸人出身」ではなく「地下出身の芸人」だ。

 真の地下芸人とはコンビを継続する努力もせず、怒られながらでもネタを面白くしようという努力もせず、事務所に所属してチャンスを待つという努力もしない、全ての努力から目を背けた生温い芸人……。

 元芸人として現在芸人をしている人たちへ言いたい。

 芸歴に関係なく、売れていないだけできちんと努力をし、チャンスを待っている芸人たちよ。君たちは決して地下芸人ではない。安心して地上を目指すのだ。

 そして僕の定義に当てはまっている地下芸人たちよ。今すぐ芸人を辞めるのだ。もし自分たちも今の状態のまま「錦鯉」や「ランジャタイ」のようにテレビで活躍したいと思っているとしたら、それは無理だ。努力しない芸人はテレビで活躍することは出来ない。

 自分たちの代表だと勘違いしている、今テレビで活躍している地下芸人たちは残念ながら、地下に居ただけで君たちと同じではないからだ。ただ、まだ心のどこかにモヤモヤした気持ちがあるのならば、いますぐプライドを捨てて地下からの脱出を試みるのだ。絶対に手遅れなんてことはないはずだ。

 地下芸人という言葉がメジャーになり、これからも地下芸人と呼ばれる芸人さんたちがテレビで活躍していくかもしれないが、本当の意味での地下芸人をテレビで目にすることはないだろう。偶然、なにかしらの縁でテレビに出たとしても、それで満足しすぐにいなくなる。なので皆さんが知っている芸人に、地下芸人は存在しないというのが僕の意見だ。

 さて、ここまで地下芸人の定義を書いてみたものの、どうしても僕の中でしっくりきていない部分がある。それは僕にとって芸人という職業は今でも憧れであり、今でも尊敬しているので地下芸人だろうと芸人と名がつく以上面白い存在であってほしいという思いがあるからだ。

 ただ、面白いネタを書くにはどうしても、努力や第三者の意見が必要になってしまうのも事実。その努力が出来ないということは”芸人”ですらないのかもしれない。パッと見は芸人見えるがその実態は芸も磨かず、向上心もなく、肩書だけは立派に自分は芸人だとうそぶいている芸人のニセモノ。

 まさに「芸人もどき」

 僕が定義する地下芸人とは、芸人界ピラミッドの底辺ではなく、ピラミッドの外に存在する芸人に似て非なる存在「芸人もどき」という、新しいカテゴリーだった。ようやくしっくりきた。

 もし皆さんが「芸人もどき」を見てみたい場合、区民センターの会議室で行われるような、無料で開催されているライブへ行くことをオススメする。芸人からエントリーフィーを取り、お客さんは無料で見られるという何とも珍しいライブで、そこに行けば、これから売れるかもしれない「地下芸人」、間違えて迷い込んでしまった「原石」、そして「芸人もどき」を見ることが出来て大変お得である。

 芸人、YouTuber、アーティスト、インフルエンサー、料理研究家、〇〇評論家。自分で自分の肩書が選びやすくなった現代。気が付くと自分自身が〇〇もどきになっているかもしれない。もう一度自分を客観視する必要がありそうだ。

 

  

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2022/09/05 11:30
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