『るろうに剣心』佐藤健の「おろ?」も完璧! ダメそうな実写化が成功した3つの理由
#しばりやトーマス #金ロー
夏のスタジオジブリ祭りも終了した9~10月の日本テレビ系『金曜ロードショー』では、2014年から2021年に渡って公開された映画『るろうに剣心』シリーズの2~4作を放送。まずは実写2作目の『るろうに剣心 京都大火編』が放送されます。
1994年から1999年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載された漫画の実写化で、明治初期の日本を舞台にした時代劇。当時まだジャンプ読者だった筆者は連載一回目から読んでいて、人気連載となった後では信じられないが最初は全然人気が出ずに、単行本の一巻、二巻が近所の本屋に全然入荷しなかったので、専門書店まで行ってようやく買えたのを覚えている。
初期は打ち切り寸前までだったとも言われたが、声優によるドラマを収録したオーディオブックが出た。漫画の注目度があがったのはこれがきっかけだった気がしている(あくまで筆者個人の意見です)。当時の人気声優、緒方恵美と桜井智がキャストされていたので、周囲では原作も読んでないのにカセット(まだカセットテープが現役の時代だった!)を買い、そのあとで漫画を買うという逆転現象が起きていたのだ。その後、テレビアニメ化もされ一気に人気に火が付き、ゲーム、ミュージカル、原作漫画は続編が連載中という息の長いヒット作に。人気が出なかった初期の頃が信じられない話だ。
そして2012年に実写映画一作目が公開される。原作漫画が終了して10年以上も経ってから実写がつくられたのだ。この実写一作目が単なる「漫画の実写化」でないのは、製作・配給にワーナー・ブラザース・ジャパンが関わっていたことだ。
米映画界大手のワーナー・ブラザースが日本でエンターテインメント事業を行う部門として同社は誕生、ジャンプの人気漫画『デスノート』シリーズの実写化でいきなりのヒットを飛ばし、当初は配給だけだったが、やがて本格的に邦画製作に関わっていく。
ところが、良かったのは『デスノート』シリーズだけで、以降は苦戦を続ける。『銀幕版スシ王子!』『ICHI』『昴-スバル-』……邦画を観に行って最初にワーナーのロゴが出てくると「ダメだこりゃ!」とつぶやいていたものだ。だが『るろうに剣心』はワーナー・ブラザース・ジャパンにとって久々のスマッシュヒットになった。
成功の理由は三つある。一つ目は大規模なロケーションだ。京都、滋賀、兵庫、岡山から鳥取といった各地を渡り歩き、なんてことのないシーンひとつにもこだわりロケ撮影が行われ、ついぞ邦画では見ることがないスケール感のある画面作りがなされた。
二つ目は迫力のあるアクション。アクション監督を担った谷垣健司はジャッキー・チェンに憧れ、何のつてもないのに海を渡り香港映画界に飛び込んだ人物で、やがてスタントマン、アクション監督として認められるようになっていく。
『るろうに剣心』に抜擢されたのは香港時代の仕事が評価されたからで、彼が作り上げた地を這うような動きから上空高く舞い上がり、さらに香港仕込みのハイスピードかつ縦横無尽に展開するアクションは役者とスタントチームによる生身のもので邦画では見たことがないレベルに達しており、様式美のようなチャンバラ映画のイメージを覆した。
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