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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 映画  > 玉木宏が過去最高に恐ろしい映画

玉木宏が過去最高に恐ろしい映画『この子は邪悪』の魅力

「ありえない」からこそ怖い寓話

 『この子は邪悪』で賛否両論を呼ぶポイントがあるとすれば、ポスタービジュアルに「ありえない」と記されている通り、「現実でそんなことがあるわけがない」展開にもなることだろう。はっきり言って荒唐無稽でもあるのだが、個人的には「ありえないことを描いてこその恐ろしい寓話(教訓を与える物語)」になっていることが好きだ。

 現実ではこんなことはもちろんありえない、だが、もしも「できてしまう」としたら……?人間の(しかも家族への愛情による)狂気は、どこまでも暴走してしまうのかもしれない。それこそが恐ろしいのだと、映画を観終わって改めて思うことができたのだ。そして、そのありえない展開があるからこその、意地の悪すぎる伏線回収の仕方が「なんてひどいことを考えるんだ!」と泣き叫びたくなるくらいに怖かったのだから(もちろん超褒めている)。

 なお、いくら荒唐無稽な展開があるとは言え、リアリティもおろそかにはしていない。物語の重要な鍵となる退行催眠にはサイコドクター(心理学専門家)が睡眠療法監修として参加しているし、障子や飾り絵が美しい日本家屋や『犬神家の一族』(1976)を意識したマスクなどの美術も「ありそう」なものとして信じられるバランスになっていた。「そうなってしまうかも」と思わせるための工夫や、耽美なビジュアルも含めて楽しんでほしい。

良い意味で最悪のタイトル回収

玉木宏が過去最高に恐ろしい映画『この子は邪悪』の魅力の画像7
C)2022「この子は邪悪」製作委員会

 映画を観ながら「あれ?」と違和感を持つ方も多いであろうことに、『この子は邪悪』というタイトルの意味がわからない、ということがある。主人公の少女は正常な思考を持つ善良な人物であるし、その妹も大火傷を負ったため常にマスクをつけてはいるが明るい良い子である。「邪悪な子どもなんてどこにもいないじゃん」と思わせるのだ。

 だが、とあるポイントで、またも「なんて最悪なことを考えるんだ!」と泣き叫びたくなるくらいに恐ろしい「タイトル回収」をしてくるのである。「それは反則だろ!」と思う方もいるかもしれないが、個人的には「確かにこの子は邪悪だわ!」と大納得するしかなかった。そんな「良い意味で最悪のタイトル回収」もまた、楽しみにしてほしい。

玉木宏が過去最高に恐ろしい映画『この子は邪悪』の魅力の画像8『この子は邪悪』

キャスト:南沙良 大西流星(なにわ男子) 桜井ユキ 渡辺さくら 桜木梨奈 稲川実代子 二ノ宮隆太郎 玉木宏
監督・脚本:片岡翔
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント 制作プロダクション:C&I エンタテインメント Lamp. 配給:ハピネットファントム・スタジオ TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2017 準グランプリ作品企画 2022年/日本/100 分/シネマスコープ/
C) 2022「この子は邪悪」製作委員

ヒナタカ(映画ライター)

「ねとらぼ」「cinemas PLUS」「女子SPA!」「All About」などで執筆中の雑食系映画ライター。オールタイムベスト映画は『アイの歌声を聴かせて』。

Twitter:@HinatakaJeF

ひなたか

最終更新:2022/09/02 10:37
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