玉木宏が過去最高に恐ろしい映画『この子は邪悪』の魅力
#ヒナタカ
9月1日より『この子は邪悪』が公開されている。
本作は「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM」という映画企画とクリエイターの発掘プログラムにて、2017年の準グランプリを受賞した企画の映像化となる。2021年公開の『哀愁しんでれら』『先生、私の隣に座っていただけませんか?』『マイ・ダディ』も同プログラムにより生まれた映画であり、実力と熱意のあるクリエイターの渾身の作品を、万全のバックアップをもって世に送り出す試みは、映画ファンの1人として応援したくなるものだ。
そして、今回の『この子は邪悪』も、これまでの受賞作と同じく、エンタメとして抜群に面白く、クリエイター支援というポイントを抜きにしても、大プッシュで幅広い層におすすめできる映画となっていた。特に『世にも奇妙な物語』的な不可思議で怖い話が好きな方、タイトルから想像する以上に良い意味でイヤ~な気分になれるサスペンス&ミステリーが観たい方は必見だろう。大きなネタバレに触れない範囲で、さらなる魅力を記していこう。
戸惑いと恐怖をストレートに伝える南沙良の熱演
あらすじを紹介しよう。少女・花(南沙良)の一家は、5年前に凄惨な事故に遭っていた。心理療法室を営む父・司朗(玉木宏)は脚に障害が残り、母・繭子(桜井ユキ)はずっと昏睡状態で、妹・月は顔に火傷を負い仮面をつけていた。ある日、司朗が5年振りに目を覚ましたという繭子を連れて家に帰って来る。司朗は「奇跡が起きた」と久々の家族団らんを喜ぶが、花は「お母さんじゃない」と違和感を覚える。花は知り合った少年の純(大西流星)と共に、真相を探ろうとするのだが……。
本作のキャスティングは「耽美な世界観を表現できるか」が大きな基準となったそうで、主人公役の南沙良がまず「これ以上はない」と言えるものだった。「帰ってきたお母さんがお母さんじゃないと思う」恐ろしい状況に戸惑う、観客にいちばん近い立場のキャラクターであり、その表情や一挙一動からは恐怖心がストレートに伝わってくる。これまで「見た目は可憐だが、心の中では複雑さや闇を抱える」役を演じてきた南沙良の、役者としての経験も存分に生かされたのだろう。
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