トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 堂本剛の「自分の色を生きるファンク」
ファンク研究家が紐解くENDRECHERI「1111111 ~One Another’s Colors~」

堂本剛が鳴らす「自分の色を生きるファンク」――ENDRECHERI新曲「1111111」に込められたメッセージ

堂本剛が鳴らす「自分の色を生きるファンク」――ENDRECHERI新曲「1111111 ~One Another's Colors~」に込められたメッセージの画像
ENDRECHERI「1111111 ~One Another’s Colors~」

 サブスクリプション型音楽配信サービスで音源が解禁され、国外からも注目を集め始めている堂本剛のプロジェクト「ENDRECHERI」。ソロデビュー20周年を迎えた今年は、ソロデビュー日の5月29日に初の配信シングル「LOVE VS. LOVE」を発表し、続けて『SUMMER SONIC 2022』出演日にデジタルシングル第2弾となる「1111111 ~One Another’s Colors~」が登場した。ふたたびファンク研究家・Dr.ファンクシッテルーさんに、このファンクネス溢れる新曲を読み解いていただく。

1111111 ~One Another’s Colors~

 2022年8月21日。深夜0時、日付が変わった瞬間に、私はSpotifyの検索で「ENDRECHERI」と入力した。すると、ほんの数分前には存在しなかった曲が、リストに浮かび上がる。「1111111」という分かりやすい名前を確認した私は、それをタップして再生した。

 すぐに、分かった。これは、新しい。……新しいファンクだ。

 今回は、堂本剛が21日に配信限定シングルでリリースした楽曲「1111111 ~One Another’s Colors~」についての話である。

 堂本剛は、ファンク・ミュージシャンだ。彼はプリンスやP-Funkなど、偉大なファンク・レジェンドの影響の下、本物のファンクを作り続けている。そして――彼の曲はJ-POPと呼ぶには、あまりにファンクが強すぎる。これはファンクだ。それ以外に何が言えるだろう? 私のような生粋のファンク・リスナーも興奮させてしまう、純度244%の、ピュアなファンク・ボム。それが、堂本剛=ENDRECHERIというアーティストなのだ。

そして今回のファンクは、制作方法こそ過去のアルバムの延長線上にある曲だが、内容はしっかりと新しい――「自分の色を生きるファンク」だと、私は考えている。それではまず、今回の曲のリリース背景から解説していこう。

サマソニ出演と共に放たれた、80sプリンス風ファンク

 先日、堂本剛は音楽フェス『SUMMER SONIC 2022』に、ENDRECHERIとして3度目の出演を果たした。そしてその出演日となる8月21日は、今回の「1111111 ~One Another’s Colors~」のリリース日でもあった。これは彼の配信限定シングルとしては、今年の5月にリリースされた「LOVE VS. LOVE」に次いで2作目となる。

 堂本剛のファンクは、国内のみならず、海外でも注目を集め始めている。今年1月に発表された、ファンク専門の米音楽メディア「Funkatopia」が選ぶ「2021年のファンクアルバムベスト20」に、ENDRECHERIが昨夏リリースしたアルバム『GO TO FUNK』が選出されたのだ。そういった流れを受けての配信限定シングル、つまりは世界へ向けての楽曲リリースである。詳しくは、私が「LOVE VS. LOVE」について書いた記事をお読みいただきたい

 前作の「LOVE VS. LOVE」では全てが英語の歌詞で歌われていたが、今回は重要な箇所とサビを英語で歌い、あとは日本語で歌っている。日本語の部分は特に、彼独自のファンキーなリズム感と言語センスが光る箇所で、これは『GO TO FUNK』などと同じ作り方となっている。

 また作詞作曲、アレンジ、演奏はすべて、堂本剛とキーボードプレイヤーのGakushiのみによって行われている。このあたりも『GO TO FUNK』の一部の曲を引き継ぐ制作方法である。

 今回、注目のサウンドは、プリンスが作り上げてきた80sファンクを彷彿とさせる内容だった。また、プリンスの影響を受けたジャム&ルイスがプロデュースしてきた80年代R&Bの香りも感じられる。これは、こうしたサウンドに精通したGakushiのセンスによるものだろう。


 プリンスの楽曲。87年発表の『SIGN “O” THE TIMES』収録


 ジャム&ルイスも在籍したバンド「ザ・タイム」の82年作『What Time Is It?』収録。プリンスが制作したとされる


 ジャム&ルイスが全面プロデュースしたジャネット・ジャクソンの86年作『Control』収録


 ジャム&ルイスがプロデュースしたS.O.S.バンドの84年作『Just the Way You Like It』収録

“新しい虹を描こう”というテーマ

 今回の「1111111 ~One Another’s Colors~」には“新しい虹を描こう”という明確なメッセージが込められている。これに関しては、GYAO!配信の番組『つよしP』にて、堂本剛本人の口から語られている。

テーマとして“新しい虹を描こう”っていうのがある」(つよしP #22 Progress「プログレス」より)

いろんな人がいていいし、自分が正しいわけでもないだろうし。とはいえ、“自分の色を生きる”っていうことは、そんなに悪いことなのかな?という疑問を、ここで訴えている」(『つよしP』 #22 Progress「プログレス」より)

僕たちひとりひとりが、自分の色彩、色を諦めないこと。それをひとりひとりが本気でやれば、今の現在の新しいスタイルの“ニューノーマルな虹”ってものが掛けられるはず」(『つよしP)  #21 Poetry「詩の世界」より)

 こういった今回の曲におけるメッセージに関しては、堂本剛が以前からインタビューなど、さまざまな媒体で語ってきた内容と一貫している。「1111111」という謎めいたタイトルだが、これは、BPM(曲のテンポを表す数字)が111だったので、テーマである「虹」にかけて1が7個になったとのこと。また、今回の曲の歌詞でも、

〈誰もが 自分の色を生きる未来が欲しい 諦めんな 色彩〉

〈僕らの息に混ざった「決めつけ」ってやつが 無数の可能性 目眩ませる現在は脅迫だ〉

と歌われている。そしておそらく、彼が込めたメッセージは、歌詞の中だけに存在しているのではない。(1/2 P2はこちら

12
ページ上部へ戻る

配給映画