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TPの芸人礼賛

真空ジェシカ川北、一見“傍若無人”な大喜利回答の裏にあったチームプレー精神

「大喜る人たち」で目撃した真空ジェシカ川北の優しさ

真空ジェシカ川北、一見傍若無人な大喜利回答の裏にあったチームプレー精神の画像2
YouTubeチャンネル「大喜る人たち〈大喜利動画〉」

 そして、今年6月に開催されたライブ「大喜る人たち season23 Presented by Sammy」での一幕。

「大喜る人たち」の特徴は、プロとアマの垣根がないこと。司会からお題が発表されたら各自ホワイトボードに回答をしたためて、ステージの真ん中で発表する、基本的にはその繰り返し。プロもアマも横一線。

 大喜利ライブは一見「個人戦」のように思われがちだが、前の人の回答にかぶせて回答したり、回答者全員が結託してお題とは関係ない回答を続けるなど「チームプレー」の側面もある。そしてこの6月のライブで僕は大喜利における「最高のチームプレー」を目の当たりにした。

 その日は「大喜る人たち」初出場のSASORIちゃんというアマチュアの大喜利プレイヤーが出演していた。数年前に大喜利ライブシーンを席巻していたSASORIちゃんだが、「大喜る人たち」のお客さん的には「誰?」という状態で、序盤から面白い回答を出しているものの、いまいちウケきらない。

 それを救ったのが、真空ジェシカ川北さんだった。

「泥酔した学校の先生が叫んでること」というお題で、SASORIちゃんが回答した直後に川北さんが間髪入れずに泥酔したおじさんの演技で「SASORIちゃんおもしろいねぇ~」と回答しながら乱入してきたのだ。

 厳密に言えば、手も挙げずまして他人の回答中に乱入なんてご法度もご法度だが、会場は大爆笑。これによって「SASORIちゃんは面白い人」「SASORIちゃんも大喜るの仲間」という空気が作られて、そこからSASORIちゃんのウケ方が格段に良くなったのだ。

 真空ジェシカ川北さんといえば、『M-1グランプリ2021』決勝進出によって全国区の知名度となったが、そのずっとずっと前からお笑いファンの間では、どんな場面でもふざけ倒す「制御不能」のキャラクターでおなじみだった。

 なので川北さんがそういうフォローをするなんて意外だった。

 もちろんこれはあくまで客目線の憶測なのであしからず。当人にそんな意思はなかったかもしれないし、笑いを取りに行っただけかもしれない。ただ事実としてSASORIちゃんはライブ後「めちゃくちゃ助かった」と話しており、川北さんの優しさが1人の大喜利プレイヤーを救い、ライブの雰囲気をさらに良くしたのはたしかだ。

 ちなみにその川北さんの優しさはバッチリYouTubeに公開されているので、ぜひ観てほしい。

 大喜利ライブを見ていると、明らかに答えを書き終わっている人でも「これを出す流れじゃない」と判断して、手を挙げていないことがある。これも人生だと思う。すぐ行動すればいいってもんじゃない、最良のタイミングが来るまでじっと「機」を待つ、まさに人生。

 大喜利は出された回答、瞬間的な笑いばかりが注目されがちだけど、その回答ひとつひとつが「前の回答を消す」という勇気ある行動の上に成り立っていて、個人戦のように見えても、誰かの回答によってほかの人が救われる「チームプレー」でもある、なんだこれ、人生すぎる。

 何にも考えずに笑えるのが大喜利のいいところだけど、一歩引いて、そんなところにも注目してみるとより楽しめるかもしれない。

お題:「こんな大喜利ライブは嫌だ」

回答:「客がいちいち人生を重ねてくる」

前回の記事はこちら

 

高橋雄作(TP、プロデューサー・作家・社長)

プロデューサー、作家、社長。2022年夏、テレビ朝日を退職し独立。音声配信アプリ「stand.fm」コンテンツアドバイザー、お笑いラジオアプリ「GERA」チーフプロデューサー。YouTubeチャンネル「金属バット無問題」などを手掛ける。

Twitter:@takahashigohan

たかはしゆうさく

最終更新:2022/09/01 20:00
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