『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』やっぱり裏にあった血なまぐさい逸話
#U-NEXT #しばりやトーマス #世界は映画を見ていれば大体わかる
ここまで読んで読者の方は想像がつくと思いますが、またまたトラブルが持ち込まれる。ラディを陰で支えているエヴァンスが奥さんに逃げられてしまうのだ。彼の奥さんはアリ・マッグローという女優なのだが、彼女が『ゲッタウェイ』の撮影現場で共演者とデキてしまう。相手はスティーブ・マックイーン!いくら飛ぶ鳥を飛ばす勢いのエヴァンスでもマックイーン相手じゃ勝ち目ないね。奥さんに逃げられたエヴァンスは酒とコカインに溺れ自堕落な生活を送る羽目に。映画『ゴッドファーザー』で三男のマイケルはヤクザなマフィアの世界に嫌気が差して恋人との愛に逃げようとするも、父親が襲われたり兄弟を失ったことで安穏な生活に別れを告げてボスの座につくという話なので、製作者が愛を失ったことで落ちぶれていくのは逆説的というか。
さらに追い打ちをかけるようにジョーが演説中に銃撃され、意識不明の重体に。ラディの仕事を支える二人が同時に居なくなって撮影は暗礁に乗り上げる。
映画作りにのめり込みすぎるジョーを5大ファミリーのボスたちは快く思っておらず、ジョーと反目するギャングのギャロが彼に弓引くのを黙認する。ギャロはラディに金を持ってこいと「決して断れない提案」をする。ギリギリの予算でやっているラディの手元にある金は映画のシチリアロケの予算だけだ。これですら自腹を切っているのに。ロケができなければ映画は完成しない。しかもギャロの要求は一度で終わるわけがない。変にマフィアと関係を持ったために延々と食い物にされるだけなのか?頼みの綱のジョーは病院で意識が戻らない。『ゴッドファーザー』のために様々な苦難を乗り越えてきたラディだが、もう打つ手はないのか。
本作を見ていると映画作りというのは本当に大変で、次から次へと無理難題が舞い込み紆余曲折を経て完成していくものなのだろうけど、『ゴッドファーザー』の現場は普通のレベルを軽く超えている。
会社のトップは利益だけを考えていて安く作ってがっぽり儲けろとばかりいう。だが映画製作とは利益効率だけを求めてやるものではないので、『猿の惑星』を見て感情に突き動かされて映画作りを目指したラディが映画という夢を苦労の果てに掴むクライマックスには拍手喝采である。『ゴッドファーザー』ファンにはあの名場面、この名場面が再現されて出てくるのでたまりません。映画作りって本当にいいものですねえ。
ラディはその後傑作を撮り続けて名プロデューサーとなった……というオチにしてるんだけど、実際のラディはその後、空虚なオールスターコメディ映画『キャノンボール』、ハリボテのマシンが登場するダメSF『メガフォース』とか撮っちゃってるんだもんなあ。正直、駄作率の方が高いよ。ラディ本人が本作の制作に関わってるからって、いいところばかり強調してるんじゃないよ!
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