『24時間テレビ』のチャリティーマラソン“誰でも簡単に感動させられる”企画
#深田憲作 #企画倉庫 #アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~
放送作家の深田憲作です。
「企画倉庫」というサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこの連載をやらせてもらっています。
今回のテーマは「24時間テレビのチャリティーマラソンについて」です。
毎年、『24時間テレビ』の放送前後には、番組に対する賛否の記事がネットニュースを賑わせます。視聴率に関して、チャリティーの在り方について、募金額について、マラソンランナーについて、などなど。
しかし、ここではそれらを一切無視して、ただただ企画の観点から述べていきたいと思います。
私は、日本テレビの『24時間テレビ』にも、フジテレビの『27時間テレビ』にも、甘噛み程度にですが関わらせてもらったことがあります。その経験を踏まえたうえでも強く感じるのは、長時間番組において、100キロマラソンは見事な企画だということです。
24時間以上にわたって番組を放送する際、放送尺を埋めるためにさまざまな企画を行うわけですが、その中で1つ、軸となる企画が必要になります。『24時間テレビ』では長らく100キロマラソンがその役割を果たしてきました。
一方、フジテレビの『27時間テレビ』では、その年によって、クイズ、歴史、ドミノ、ダンスなど、さまざまな企画が行われてきました。これらを振り返ってもマラソンを超える縦軸企画は無かったように思います。
一見、“ただ走っているだけ”のマラソンですが、そこには長時間番組の縦軸企画として必要な要素がたくさん詰まっているように感じます。
まずは、感動を作りやすいということ。100キロ走ることがキツイことは誰でも理解できます。真夏に、24時間寝ずに、100キロ走る人の姿を見たら、誰しも「頑張ってるな~」と思うはずです。頑張りが伝わりやすいということは視聴者に感動を生みやすいということです。ドミノを24時間並べ続けることも肉体的にキツイはずですが、マラソンほどにはそのキツさを肌感覚では共感できません。“走る”こと以上に視聴者がキツさを共感できる行為はないような気がします。
そして、マラソンには明確なゴールがあります。ということは、テレビ番組としてゴールの瞬間に感動のピークが作れますし、ゴールに向けて右肩上がりに山場を作ることが出来ます。ゴールに近づけば近づくほどランナーの疲労は貯まっていくわけですから、視聴者のランナーへの思い入れもゴールに向かうにつれて高まっていきます。24時間のうち、1度でもランナーの走る姿を見たら、その後の途中経過が気になってチャンネルを合わせるでしょうし、ゴール直前やゴールの瞬間を見届けたいと思うはずです。
「明確なゴールがある」と述べましたが「明確な1人の主人公を設定できる」というのもマラソンの利点だと思います。これは見るべき・応援すべき対象が明確であるということです。
そして、語弊を恐れずに言うと「マラソンが誰でも出来る」ということも企画として秀逸な点だと思います。どんないい企画でも、続けることができなければ単発に終わってしまいます。特殊技能を持った人にしか出来ない企画は、毎年恒例の風物詩にはなりえません。確かに100キロ走ることはキツいです。でも、事前トレーニングと手厚いサポートがあれば、健康な人であれば100キロ走ることは可能です。だからこそ、ランナーに旬の芸能人を番組の主人公としてキャスティングして、毎年続けていくことが出来るわけです。
あらゆる観点から見て『24時間テレビ』のメインコンテンツとしてマラソンが在り続けているのは必然だなと感じます。いつかマラソンに代わる企画が生まれる日が来るのでしょうか。それはそれで楽しみです。それでは今日はこの辺で。
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