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ダウンタウン浜田のモノマネを…貴乃花の独擅場『ドキュメンタル11』の成功と失敗

笑わせるよりも笑わないことが優先されたらダメ

 今作がイマイチ盛り上がりにかけてしまったのは、出場している参加者の大半がガチンコ勝負をしてしまったからではないだろうか。ドキュメンタルはあくまでもバラエティ番組で、エンターテイメントの要素が無いと成り立たないのだ。

 勝負が始まり、まず最初に高橋さんが何度も「寝ていない」という話題をふる。普通なら何か仕掛けようとしていると感じるものなのだが、お笑い慣れしていないのか、誰もそれに気づかない。松本さんをはじめとする芸人さんたちは「高橋さんに注目してあげて」「なんかしようとしてはるのよ」「芸人はどっかそういうとこ付き合おうとするけど、やっぱそういうのはない」「これが今大会の怖さ」「芸人やったらわかるんですけどね」と、その異常さを口々にした。

 芸人のみのドキュメンタルの場合、誰かが笑わせようとしていたらそれを察知し、全員で注目し、その人の笑いを見る。そしてボケを見たうえで笑うか笑わないかなのだ。しかし今回は笑わせようとしていることを察知できず、ボケが中途半端な状態で止まったり、タイミングを逃して笑いにならなかったりする場面が多く見られた。

 さらに参加しているメンバーの大半が「他者を笑わせる」より「自分が笑わない」という意識になってしまったのもイマイチ、盛り上がらなかった原因のひとつだ。繰り返しになるがあくまでも、この番組は「笑わせ合いサバイバル」。笑わないで勝つというのは、番組の趣旨と合っていないのだ。

 今までのドキュメンタルと今作は、まるでプロレスと喧嘩のように違うものだ。もちろんいつものドキュメンタルがプロレスで、今作が喧嘩。プロレスはエンターテイメントショー。相手の技を受け、こちらの技を返し、お客さんを喜ばせたうえで勝負に勝つ。しかし喧嘩は、パンチが下手だろうが逃げ回ろうが、最後に立っていた者が勝ちなのだ。

 勝つことだけを意識した喧嘩をする人たちの中で、戦い方にこだわったプロレスを繰り広げた貴乃花光司さんが優勝するのは至極当然のことだったのかもしれない。

 しかし今は喧嘩がひとつのエンターテイメントとして成立し、不良たちが格闘家になる時代。通常のドキュメンタルがプロレスだとして、この「UNLIMITED」が素人の喧嘩ではなく、一流の格闘家が繰り広げる本気のエンターテイメントになることを願う。

 それにしても最後に貴乃花さんが見せた、ダウンタウン浜田さんのモノマネが今でも頭から離れない。

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2022/08/29 20:00
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