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ダウンタウン浜田のモノマネを…貴乃花の独擅場『ドキュメンタル11』の成功と失敗

マイファス・ヒロ、芸人ばりの技術がありながら優勝しなかった理由

 続いては六平さん。六平さんは「六平直政」という超一流素材の調理法を知らなかったのが敗因だろう。芸人にとって、六平さんのような素材を面白くするのは簡単である。

 では六平さんという素材を、三枚におろしてみよう。

 六平さんを構成する利用できそうな素材は強面、声の迫力、ご年齢の3つ。この3つを使えば笑わせられる。ちなみに「裏切り」が笑いの基本なので、さきほどの3つの反対を考えれば良いのだ。若くて可愛くて迫力の無いもの……それは赤ちゃんだ。つまり六平さんを赤ちゃんにすれば、とりあえず笑いにはなる。

 もちろん今回ご自身がドキュメンタルを研究し、ハリウッドザコシショウの真似をしたのは素晴らしかった。だが、真似をするという発想で思考が止まってしまい、モノマネ自体はとても雑になっていたので、笑いになりにくかった。モノマネがドキュメンタルバージョンではなく、ザコシのネタバージョンを緻密に再現したらもっと、簡単に笑わせられだろう。

 また、もしドキュメンタルバージョンをやるのであれば、六平さんが絶対にやると思えないモノマネをチョイスすれば裏切りになる。なので下ネタに振り切ったザコシをやれば、確実に笑いになった。面白い芝居が出来る俳優と面白い俳優は、似て非なるものなのだ。

 そして最後はマイファスのヒロさん。用意してきた小道具はかなり面白かった。自身の父親である森進一さんの若いころの宣材写真に面白いワードを載せ、それを披露する。手法もワードセンスも芸人張りに素晴らしかった。結果的にそのワードが番組全体の主軸のボケになり、そのお陰で貴乃花さんも優勝することが出来た。

 そんな素晴らしいセンスを持ったヒロさんがなぜ、優勝することが出来なかったか――。それはエンディングで松本さんがヒロさんに対しての一言がすべてを物語っている。

 その言葉とは「ヒロも裏回しをいうか頑張ってくれたんですけども」だ。

 その言葉通り、後半なぜかヒロさんは自身でボケることはしなくなり、他のメンバーに突っ込んだり、貴乃花さんに笑いのきっかけを指示するといった、回し的ポジションにまわったのだ。

 ただあのメンバーを回すにはある程度技術がないと不可能で、そこはさすがに技術不足となり、オブサーバーの後藤さんや藤本さんが言ったツッコミをそのまま繰り返し、笑いを分散させてしまう場面がいくつかあった。

 しかもヒロさんは参加者の中で最年少。一番の年下が他のメンバーを操作しているように見えるのは、マイナスでしかない。

 そして最も印象的だったのが、貴乃花さんが香取さんを笑わせ退場させたとき、指示を出したヒロさんが「ありがとうございます」と言っていたのだ。どこからか貴乃花さんと力を合わせ、2人で笑わせている感覚になったのだろう。だがこの大会はあくまでも”個人戦の笑わせ合いサバイバル”であり、笑いを指示した人間では無く、笑いを起こした人が勝者なのだ。

 厳しい言い方になってしまうが、自身で笑わせる気が無くなった人間は必要ないのだ。笑いのセンスが一番ありそうなだけに、もっとちゃんと笑わせようとしている姿が見たかった。

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