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アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~

『ダウンタウンvsZ世代』が見せたテレビに残された可能性“やばい昭和”の見せ方

『ダウンタウンvsZ世代』が見せたテレビに残された可能性―やばい昭和の見せ方の画像1
「ダウンタウンvsZ世代」日本テレビ 公式サイトより

 放送作家の深田憲作です。

企画倉庫」というサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこの連載をやらせてもらっています。

 今回のテーマは「ダウンタウンvsZ世代について」です。

 8月13日に日本テレビ系で放送された特番で、今では考えられない昭和の文化について、昭和世代とZ世代がトークをしていくという内容でした。高視聴率だったことでネット記事にもなっていましたが、私も番組を拝見してとても面白い番組だと思いました。

 昭和の文化を紹介する企画は珍しいものではないのですが、この番組を見て、今の時代において「テレビだからこそ出来るコンテンツ」「テレビの強みが発揮されたコンテンツ」だと思いました。

 というのもやはり、昭和を振り返るうえで重要になるのはアーカイブ映像。当然、テレビ局はそれを豊富に持っています。YouTubeも、Amazonプライムも、Netflixも、自社に昭和のアーカイブ映像は持っていませんから。この番組はそのアーカイブ映像の強さがふんだんに発揮されていました。

 そして、ダウンタウンさんをはじめとした昭和生まれの芸能人が、Z世代の芸能人に、昭和の文化を教えるようにトークしていく構造だったのですが、これも老若男女が同時に視聴するテレビというメディアの強みが活きた見せ方だと思いました。昭和世代の視聴者は「あ~、あったあった!懐かしい」と思いながら、Z世代の視聴者は「え!? 昭和ってこんなことあったの!? 考えられない!?」と思いながら、見る人の世代によって違う目線で楽しめる作りになっていました。きっと、日本中の家庭でこの番組を見ながら親子で多くの会話が生まれていたはずです。「パパもこれやってたよ」「マジで!?」「昔は待ち合わせするだけでも大変だったんだから」「めんどくさ~」といった具合に。これが、視聴者層がピンポイントにターゲティングされているメディアであれば、このような番組の構造では制作しないはずです。昭和をテーマに扱う番組だとしても、昭和世代だけが楽しめる内容、もしくはZ世代だけが楽しめる内容に偏ると思います。

 テレビの世界で当たり前に使われてきた「老若男女が楽しめる」という言葉は、今後はテレビ特有のものになっていくのかもしれません。“1つの映像コンテンツを一緒に見ながら家族で会話をする”というのが、テレビの強みの1つになっていくような気がします。

 そして、「昭和の文化を紹介する企画は珍しくない」と先述しましたが、同じ昭和をテーマに番組を作るにしても、作り手によって切り口は違ってきます。「昭和世代がとにかく昭和を懐かしめる見せ方」「昭和の出来事や文化をクイズにして記憶力を問う見せ方」「昭和の文化から生きるヒントを提示する見せ方」など。この番組はどうだったかというと「ヤバい昭和」をキーワードにして、ややネガティブな目線というか、「今考えるとひどいな」と思う切り口で昭和の文化を紹介していました。これがMCのダウンタウンさんにもハマっていて、アーカイブ映像はもちろんのこと、スタジオでの昭和世代の芸能人のトークも終始笑えるものになっていました。

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