阿部寛がエンタメしながら“コンプラ時代の変化”を示した映画『異動辞令は音楽隊!』
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Netflixの『全裸監督』で話題をさらい、映画『ミッドナイトスワン』(2020)では日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督。彼が原案・監督・脚本を手掛けた映画『異動辞令は音楽隊!』が、8月26日から公開される。
主演の阿部寛は、今作で見事なドラムテクニックを見せているが、ドラムに触れたのはなんと今回が初めてだ。ただひたすらにドラムを叩くのではなく、人目を意識して”見せる叩き方”をしたのは、アメリカの名ドラマー、バディ・リッチを参考にしたからだという。どこか『セッション』(2014)を思い出すのは、『セッション』の主人公がまさにバディ・リッチのようなドラマーを目指していたからである。
阿部が演じる主人公が作中でドラムのテクニックを習得していく過程は、本人のそれとリンクしているからこその説得力を持つ。
主人公が音楽を通じて成長していくこと、疎遠の娘との関係を修復していくことなど、王道的な音楽映画やサクスセス・ストーリーとしての側面からも楽しめる作品に仕上がっている。ただ、今作が伝えようとしているのはそれだけでなく、時代の変化をどう受け入れるか、ということ。
表面上はさまざまな要素の詰まったエンタメ作品のようでありながらも、その芯にあるのは“今考えるべきテーマ”、つまり社会問題を反映した内田監督の作風は、今作も健在だ。
【ストーリー】
犯罪捜査一筋30年の鬼刑事・成瀬司(阿部寛)は部下に厳しく、昭和さながら犯人逮捕の為なら法律すれすれの捜査も辞さない男。家族もろくに構わず一人娘・法子(見上愛)からはとうに愛想をつかされている。そんな成瀬は高齢者を狙った「アポ電強盗事件」が相次ぐ中、勘だけで疑わしい者に令状も取らず過激な突撃捜査をしていたが、そのコンプライアンスを無視した行動が仇となり、突然上司から異動を命ぜられる。刑事部内での異動だろうと高をくくっていた成瀬だったが、異動先はまさかの <警察音楽隊>だった……。
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