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『ザ・ノンフィクション』28歳ミサトさんの“お金じゃない幸せ”と母娘バトルにネットまた荒れる

『ザ・ノンフィクション』28歳ミサトさんのお金じゃない幸せと母娘のバトルにネットまた荒れるの画像1
『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)

 日曜昼間の秘かな人気番組『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。とにかくアクの強い人に迫る『ザ・ノン』は、今年だけでも「ニートが暮らす山奥のシェアハウスで結婚した夫婦」「無名なのに“武道館でライブをする”という夢に猪突猛進する歌手」「ゴミ屋敷で暮らす、女装が趣味の東大卒男性」など、彩り豊かな人々を毎週のように紹介してきたが、8月21日の放送でも強烈な人物が視聴者を魅了した。

 主人公は28才のミサトさん。専門学校を卒業後、一度は有名老舗ホテルに就職したが、広告代理店など数社に転職した後、会社勤めが合わなかったのか、人生をリセットするべく旅に出た。軽バンで気の向くままに全国を回っているという。問題は、そういった状況をまるで理解してくれない母親とのすれ違い。番組では、冒頭から母娘の言い合いが展開される。

 母が「旅の方向性は?」と問うと、娘は「田舎暮らしをしたいと思ってる」と答え、母がすかさず「ウチの実家は田舎だしさ」と応じれば、娘は「ちょっと違うんだよね」と言い返す……自由な生活を送りたいというミサトさんと、それにダメ出しする母との会話は永遠に平行線だ。

「ミサトさんの言うことは、ある種の説得力はあります。例えば、『死にそうになりながら働いて幸せじゃないより、旅に出て、生きてる実感を得ていたい』『お金のかからない生活をしてる自然派の人たちと出会って、人生で今、一番楽しい』『お金じゃない幸せを見つけた』といった発言に心惹かれる人は少なくないでしょう。

 ただ、問題はミサトさん自身が結局はお金に縛られているところ。母親に連絡場所ぐらい知らせるように言われて、邪険に断りますが、母親に『携帯代だって払ってあげてるのに』と強烈なカウンターを喰らいます。母親はそれ以外にも援助しているようで、母親は『まずは経済的に自立しろ』と、娘に対する不満をカメラの前でこぼします」(テレビ情報誌記者)

 この時点で母と娘の戦いの“勝敗”は見えているようだが、娘にも言い分はある。それは母親が世間体を異常に気にすることだ。ミサトさんが実家に帰ってくると、近所の噂話や人からの見え方を気にして、「庭を散歩するな」「表に出るな」などと言われるのだとか。母は「(近所には)何もウチの子のことをお伝えしてないんですよ」と言い、車を隠すこともあるという。

 それでもミサトさんは旅を続け、さまざまな出会いがあり、大分のネギ農家で働くことになる。だが、理想の生活が続いたのはごくわずかの期間。番組のエンディングでは、あっけなく「体調を崩して、ネギ農家を辞めてしまいました」と報告された。そんな自然体なミサトさんに、視聴者はガッチリ食い付いた。ネットの実況スレッドには5000件以上の書き込みが殺到。厳しい書き込みも多いが、賛同する意見も少なくない。

「ミサトさんがいう『魂が求める方向』『お金じゃない幸せ』といったセリフは、ともすれば“逃げ”にも聞こえますが、ネットで厳しいことを書き込むコア層はアラフォー、アラフィフの男性たち。生まれた時からずっと不況が続く若者の心の内はわかりようがありません。それよりも気になるのは、最近の番組作りです。

 最近の『ザ・ノンフィクション』は、ネットで叩かれることが予想できるタイプの人を取り上げ、放送後には案の定“プチ炎上”が発生。反応を見た出演者がSNSなどで「変な切り取られ方をした」「おかしな編集をされた」などとキレるまでがワンセットになっている感があります。視聴者は喜ぶでしょうが、サンドバッグにされる出演者は堪らない。評価の高い番組だけに、取材対象への影響をもう少し考慮する必要はありそうです」(キー局関係者)

 制作陣こそ、ミサトさんにいま一度“幸せ”の意味を聞いてみるべきかもしれない。

 

藤井利男(ライター)

1973年生まれ、東京都出身。大学卒業後に週刊誌編集、ネットニュース編集に携わった後、独立。フリーランスのジャーナリストとして、殺人、未解決事件、死刑囚、刑務所、少年院、自殺、貧困、差別、依存症といったテーマに取り組み続けてきた。趣味はダークツーリズム。

ふじいとしお

最終更新:2022/08/24 19:00
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