目黒蓮に北村匠海…「聴覚障がい×ラブストーリー」連発にあの映画の影響?
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10月期のフジテレビ系木曜劇場が川口春奈主演の『silent』になることが23日に発表された。
同ドラマは、若手脚本家の登竜門として知られる「フジテレビヤングシナリオ大賞」の第33回で『踊り場にて』が大賞を受賞した生方美久氏のオリジナル脚本作品。一生をかけて愛したいと思えた恋人と8年前に別れた主人公・青羽紬(あおば・つむぎ)を川口が演じる。紬は高校3年の時に以前から気になっていた同級生の佐倉想(さくら・そう)と付き合うことになるが、卒業後、想は理由も明かさないまま紬に別れを告げる。その8年後、想と偶然再会した紬は、もう一度ちゃんと話をしたいと想を探し始めるも、徐々に耳が聞こえにくくなる「若年発症型両側性感音難聴」を患っている想の聴力はほとんど失われており……というストーリー。
佐倉想を演じるSnow Man・目黒蓮は、10月3日スタートのNHK朝の連続テレビ小説『舞いあがれ!』にも航空学校編から登場することが決まっており、立て続けに連ドラに出演することが話題となっているが、テレビ業界では“設定かぶり”が続くことが注目されている。
というのも、この10月からテレビ朝日が16年ぶりに火曜よる9時枠で連続ドラマを復活させるが、来年1月期に予定されている第2弾作品、吉高由里子主演の『星降る夜に』もまた、“聴覚障がい者とのラブストーリー”なのだ。
こちらは、朝の連続テレビ小説『ふたりっ子』や映画化もされた『セカンドバージン』、大河ドラマ『功名が辻』(いずれもNHK)、近年は『家売るオンナ』シリーズ(日本テレビ系)『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)など数々のヒットで知られる大石静氏の脚本によるオリジナル作品。吉高と大石氏は2024年度の大河ドラマ『光る君に』(NHK)でもタッグを組んでいることや、吉高にとって17年ぶりのテレビ朝日ドラマ出演となることも話題だが、こちらも聴覚障がいを持つ男性のラブストーリーとなっている。
のどかな海街の病院で働く産婦人科医・雪宮鈴(吉高由里子)が息抜きのために行ったソロキャンプ先で、遺品整理士の柊一星(北村匠海)と出会う。一星は何も語らず、鈴に向かってカメラのシャッターを切り続けた上、いきなりキス。翌朝、記憶が曖昧なまま目覚めた鈴は、一星が帰っていくのを見守る。何か手でサインを送っていた一星。それが手話で「お前のゲロは全部片付けた、バカ女」と悪態をついていたことに気づく鈴。これがふたりにとってかけがえのない運命の出会いだった――という物語。北村匠海が演じる一星は、生まれつき聴覚を持たないという設定だ。
聴覚障がい者のラブストーリーといえば、1995年に大ヒットした『愛していると言ってくれ』(TBS系)や2004年の『オレンジデイズ』(同)などが思い出されるだろう。両作を手がけた北川悦吏子氏は、2018年度前期のNHK朝の連続テレビ小説『半分、青い。』でも、主人公が小学生の時におたふく風邪によって急性難聴を発症し、左耳の聴力を失うというストーリーを綴ったことは記憶に新しい。
聴覚障がい者が主要人物として登場するドラマは、多いというほどではないものの、名作と呼ばれる作品もいくつかあり、日本でもそれほど珍しくない印象だが、聴覚障がい者をメインにしたラブストーリーが続くのは、『星の金貨』(日本テレビ系)と『愛していると言ってくれ』の1995年4月期~7月期以来ではないだろうか。しかも、今年1月期には、清原果耶演じる主人公が聴神経腫瘍を患い、物語途中で聴力を失う展開となる『ファイトソング』(TBS系)も放送されたばかりだ。
民放プライム帯の連続ドラマで、ここまで“聴覚障がい×ラブストーリー”が続くのはかなり珍しい事態だが、「おそらく単なる偶然ではないだろう」という指摘も上がっている。
「TBS、フジ、テレ朝と続々と手を付けた背景には、聴覚障がい者の両親をもつ子ども(CODA)である10代の少女の成長を描いた映画で、今年3月の第94回アカデミー賞で作品賞など3冠となった『コーダ あいのうた』の影響が大きいのではと映画業界では囁かれています。もちろん、『星降る夜に』は貴島彩理プロデューサーが長年温めていた企画で、1年以上前から大石氏に打診していたといいますし、今年1月期に放送された『ファイトソング』も確実にオスカー前から動いていた企画でしょうが、『コーダ』は2014年のフランス映画のハリウッドリメイクで、昨年1月にサンダンス映画祭でプレミア上映された時から業界ではかなり注目されていた作品でした。Appleが映画祭史上最高額で配給権を獲得した話も話題でしたからね。少なくとも、局の編成がGOサインを出した背景には『コーダ』の高評価が影響したのではと見られています。特に、新人にいきなり完全オリジナル作品での脚本家デビューをさせるという思い切った判断をしたフジの『silent』は、設定を決める上で意識したんじゃないでしょうか」(ドラマ・映画ライター)
いずれも、『コーダ』とは違ってラブストーリーが軸になるというのが“日本の民放ドラマ”らしい。特に『星降る夜に』については、「青年は音のない世界に生きているからこそ、逆にのびやかで、感情豊かで、自由な魂の持ち主です」という脚本家コメントに懸念を抱く声も出ているが……。「本気で愛した人と、音のない世界で“出会い直す”、切なくも温かいラブストーリー」という秋の『silent』、「新たな価値観で繰り広げるヒューマンドラマ」とも謳う冬の『星降る夜に』は、いずれも意気込みどおりの作品となるだろうか。
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