鬼越トマホーク、120分間の喜怒哀楽 ラジオで結婚報告した坂井の「不幸の上に成り立つハッピー」
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「親の話をすると暗くなっちゃうんだよ、いつも良ちゃんは」
結婚は、坂井にとって人生に訪れた大事な出来事だ。ここで彼が語り始めたのは、生まれ育った境遇の話だった。
「僕は生まれてからずっと、家族も仲悪いし、一族も物凄い仲悪かったですよ。親父ともずっと確執あって、今も確執は拭いきれてなくて、ちゃんと『芸人やってる』って言ったことは1回もないんだけど」
「一族も仲悪くて。でも、祖父さんが温泉を掘り当てたから温泉の商売をやってた。仲悪いのに、一族でずっと同じ商売をやってて。普通に生活してたら、ある日突然、父の兄貴が手作りの斧を持って家を訪れることなんてないでしょ? 自分の弟に対して『お前、逆らうんだったらお前んちの息子、4人全員殺してやるからなー!』って言って」
「親父とお袋もまったく仲良くなかったんで、(自分は)『絶対、結婚しない』と思ってた」
「俺、『結婚する』って親父に言ってないからね。そのぐらいの仲。つうか、しゃべってない。生まれてから10時間もしゃべってないんじゃないか?」
まるで、リアル犬神家である。不仲とはいえ、親に結婚報告さえしていない坂井。つまり、父よりも単発ラジオ番組のリスナーに先に結婚を報告していたのだ。
こんなふうに自身の身の上をとうとうと語り出す坂井を、相方の金ちゃんは制した。彼は、「ラジオは明るく楽しく人の悪口を言うのがいい」という考えの持ち主である。
金ちゃん 「良ちゃん、やめよう。今日、結婚でめでたい日なんだから」
坂井 「いや、しゃべらせてくれよ、歴史を。こういう紆余曲折があって。しゃべらせてくんないの?」
金ちゃん 「親の話をすると暗くなっちゃうんだよ、いつも良ちゃんは。めでたいから彼女とのハッピーな話を聞きたいの、俺は」
坂井 「いや、こういう話もいいんじゃないのとは思うけどね。ハッピーな話ばっかじゃないよ」
すでに、番組が始まって35分が経過している。
坂井 「……やめる、この話? 俺、結構したいんだけど。やめていいよ。楽しい話しようぜ」
金ちゃん 「いや、全然いいけど。しゃべってもいいけど、35分しゃべってるからタイミングで(スタッフが)『タイトルコールに行こう』って言ってるから。いい、行って?」
こんな無粋なタイミングのタイトルコールは、初めて聴いた。途中でトークを止めてまで無理にタイトルコールしなくてもよかったと思うが、タイムスケジュールとしてもタイトルコールを挟み、それをきっかけにコーナーを始めたい事情があったのだろう。
こうしてトークを切られた坂井は、途端にテンションを落とした。そして、黙り込んでしまう。
金ちゃん 「良ちゃん、楽しい日だろう(笑)? 結婚発表してハッピーな日なんだからさあ」
坂井 「いや、小馬鹿にされる話でもないなあと思って」
金ちゃん 「してないよ。盛り上げようと思ってただけなの、今は。ローテンションになっちゃったからさ。別に、そんな変な意味とかはないからね」
坂井 「信頼してた相方がこうなっちゃうのかなと思って……。テンション下がっちゃったなあ。人生懸けてしゃべってやろうと思ったんだけど(苦笑)。相方がこんな感じかあと思って」
金ちゃん 「いやいや、良ちゃんそんなのはないでしょ。(メールを読んで)『長くなってもいいから話してくれませんか』って来てるから、これは話そう」
坂井 「……」
金ちゃん 「ヘソ曲げないでよ、そんな(苦笑)。楽しくやろうよ」
コンビという特殊な関係が、坂井の鬱状態を招いた気がする。普通の距離感なら、進行を気にする相手の役目も理解できるはずだ。相方を好きすぎるから話を聞いてほしかったし、期待しすぎてしまうのだろう。逆も然り。金ちゃんは坂井を小馬鹿にしていないが、長年の信頼があったがゆえにトークをぶった切り、タイトルコールに容赦なく踏み込んだ。関係性があるからこその、今の展開だ。
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